OOo 3.0のWriterには、Wordとの相互運用性を高める新しい互換モードが加わった。これで一部のWordドキュメントのデザインがWriterで引き継げない問題は大幅に軽減されるはずだ。また、Writerの生産性を高める機能として、マルチページビュー機能が追加され、ノート機能が改善された。

WriterにWord互換の「行数と文字数」モード

図18 2.xではWordとWriterで機能の互換性が低く、デザインを引き継げないことがあった

Wordのページ設定にあたるWriterのページスタイルには、バージョン2.xまでは大きな違いがあった。Wordのページ設定の「原稿用紙の設定にする」はWriterのページスタイルの「行数と文字数を指定する」に対応するのに対し、Wordのページ設定の「文字数と行数を指定する」に対応する機能がWriterでは不十分だったのである。さらにWordでは、1行の文字数を多くするため字送りの間隔をフォントの大きさよりも小さい数値で設定することが可能であった。このようなWordのドキュメントをWriterで読み込むと図18のように大きくデザインが狂ってしまうのである。

図20 Wordで「文字数と行数を指定する」に設定されたドキュメントは、Writerでは「行数と文字数を指定する」が選ばれ、また「文字に合わせたマスを使用する」のチェックが自動的に外れた状態になる

このような問題を改善したのが、バージョン3.0から追加された、Wordのページ設定の「文字数と行数を指定する」に対応する「行数と文字数」モードだ。しかも2.0まで問題が起きていたWordのドキュメントを読み込んだ場合は、自動的に「行数と文字数」モードがセットされる。図19図18と同じドキュメントを3.0で読み込んだ際の画面である。このとき、図20のようにWriterのページスタイルの「行数と文字数」タブのグリッド線欄では、「文字数と行数を指定する」が選ばれ、「文字に合わせたマスを使用する」のチェックが自動的に外れた状態になる。

図19 3.0ではWordのデザインをほぼ正しく引き継げる

なお、図19の赤枠部分のように記号と英数字が続いた場合に余分な空きが生じる問題が残っている。これは筆者がIssueTrackerに修正すべき課題として登録している

Writerのマルチページビュー機能

OOo 3.0のWriterで便利なのが、複数のページを表示できるマルチビュー機能だ。24インチ以上の大型ディスプレイなら、2ページ表示でほぼA4サイズの見開き編集を実現できる。

図21 マルチビュー機能を操作するボタンやスライドバー

OOo 3.0では、Writerのステータスバーに、図21のマルチページビュー機能のためのボタンやスライドバーが表示される。ボタンは左から1ページ表示、マルチページ、書籍用マルチページ(奇数ページが右になる)の各モードが割り当てられている。スライドバーは、表示を縮小から拡大までマウスで操作することが可能だ。最適な拡大率の位置と100%表示の位置にはグリッドが引かれ、マウスの位置を決めやすくなっている。

図22のように2ページ以上の表示にしても編集が可能で、書籍用マルチページにすれば、実際の本になったときのデザインを確認できる。これで作業効率は格段に向上するはずだ。また、拡大率を縮小すれば図23のように2ページ以上の表示も可能だ。

図22 2ページの見開きで編集が可能になる

図23 拡大率を縮小すれば、複数ページの表示も可能だ

Writerのノート機能の改善

OOo 2.xまでは「コメント」と呼ばれていたが、3.0からは「ノート」と名称が変更され、機能が改善される。

「ノート」は、ドキュメントの任意の位置にメモを貼り付けられる機能だ。3.0からは図24のようにドキュメントの余白位置に常に表示されるようになる。複数人で1つのドキュメントを共有する際には、背景がユーザーごとに異なる色になるので区別が付けやすい。メニューは従来どおり「挿入」にあるが、当然ながら「コメント」から「ノート」に項目名が変更されているので注意してほしい。

図24 Writerのノート機能。「コメント」から「ノート」に名称が変更され、ドキュメントの余白位置に常に表示されるようになった