ドキュメントフォーマットに関しては、OOo 3.0からはMicrosoft Office 2007から採用されたドキュメント形式にも対応する。なお、対応するのはあくまでもOffice 2007のドキュメント形式であって、ISO認可のOOXMLへ対応するということではない。実は、Office 2007のドキュメント形式は、ISOの審査の過程で変更が加えられたOOXMLの規格を正確には反映されていないからだ。

ちなみに中国において、国家的なオフィスドキュメントの共通規格となっているUOF(Uniform Office Format)については、バージョン3.0から読み込み、保存とも対応する。UOFもXMLベースのドキュメントフォーマットだ(注3)。

ODFについては、対応する規格が1.1から1.2へバージョンアップする。まずは、OOoのバージョン間の相互運用性について紹介する。

ODFのバージョンが1.1から1.2に

Microsoft Officeとの相互運用性を高めるOOo 3.0での改善に対応するため、ODFの規格にも新機能が加わっている。これらをまとめたドキュメントフォーマットが、3.0の標準保存形式としてODFバージョン1.2となる。

なお、ODFのバージョン1.2のOASIS(注4)認可は、3.0のリリースとほぼ同じ2008年9月で、ODF 1.2がISOの標準規格となるのは来年夏ごろと予想されている

3.0の新機能を使わずにODF 1.1形式で保存する必要がある場合は、図1のようにオプションで対応できる。逆にODF 1.2形式で保存したドキュメントを2.4.1か2.4など旧バージョンのOOoで開こうとすると図2のダイアログボックスが表示され、OOoの更新を促されるようになる。

図1: ツールメニューの[オプション]で起動する「オプション」画面。左のツリーメニューから[読み込みと保存]-[全般]を選ぶと「標準のファイル形式とODF設定」欄でODFに関する様々な設定を行える

図2 OOoの更新を促すダイアログボックス

具体例を示そう。3.0の新機能である「Impress独自の表機能」を利用したドキュメントを、図1の「ODF形式バージョン」が「1.2(推奨)」で保存した場合、OOo 2.4.1で読み込むと図2の「OpenOffice.orgの更新が入手可能」ダイアログボックスが表示される。[あとで更新]をクリックすれば、ファイルを読み込める。ただし、「Impress独自の表機能」部分は画像に変換されてしまう。同じく3.0の新機能である「Impress独自の表機能」を利用したドキュメントを、図1の「ODF形式バージョン」が「1.0/1.1(OpenOffice.org 2.x)」で保存した場合は、図2のダイアログボックスが表示されることなく読み込めるが、「Impress独自の表機能」部分は画像に変換される。このように3.0の新機能を使ったドキュメントを、2.4か2.4.1に限られるものの旧バージョンで読み込む際、事前に知ることができるのは便利だ。

このことから、3.0の新機能を使わないなど、特別なことがない限り図1の「ODF形式バージョン」欄は「1.2(推奨)」としておくのが良い。

OOo 1.x、2.xで作成されたドキュメントをOOo 3.0で読み込んだ際に、デザインが大きく変わるなどの影響が出る場合は、Writerのみに限られるものの、図1の「オプション」画面の左のツリーメニューから[OpenOffice.org Writer]-[互換]を選ぼう。段落の書式など様々な互換性に関するオプションが用意されているので調整が可能だ。

Microsoft Office 2007のオフィスドキュメントの読み込みに対応

どのようなベンダーのオフィスソフトでも、保存されたオフィスドキュメントに相互運用性があることが望ましい。OOo 3.0では、後述する「WriterにWord互換の「行数と文字数」」で触れるように、Microsoft Office 2003までのオフィスドキュメントに関しては、かなり高い互換性を維持できるようになって来た。

Office 2007からMicrosoftが採用したOOXML形式のドキュメントに関しては、図3のようにファイルの読み込みのみ可能と、まだ十分な対応とは言いがたい。ただ、MicrosoftのOfficeどうしでも、旧バージョンで2007のドキュメントを読む場合は「2007 Office system互換機能パック」プログラムが必要なため、まだOOXML形式のドキュメントを求められる機会は少ない。一方でOffice 2007の来年度のアップデートでは、ODFに対応する予定となっており、ODFがオフィスドキュメントのスタンダードになる可能性も高いのだ。

図3 [ファイルを開く]の「ファイルの種類」に加わったOffice 2007のドキュメント形式

Microsoftの日本語サイトにあるOOXML形式のドキュメント(注5)をいくつか読み込んでみたところ、見出しなどの文章の構造、表や画像などのオブジェクトなど、ドキュメントの構成要素は引き継ぐことはできていたものの、3.0RC1では、若干デザインが崩れるなどの問題がまだ残っている。結果、全体のページ数に変化がおきるかもしれない。とはいえ、ベータ、ベータ2版から大きく改善されており、正式リリースを期待して良いだろう。

注3: UOFもXMLベースのドキュメントフォーマットだ
MicrosoftはUOFとOOXMLとの変換プログラム開発を支援することを発表している。「米Microsoftが中国のオフィスフォーマット「UOF」をサポート」を参照。

注4: OASIS
Organization for the Advancement of Structured Information Standardsの略。グローバルな情報社会のオープン標準を開発、統合および採用を推進する非営利国際コンソーシアム。

注5: Microsoftの日本語サイトにあるOOXML形式のドキュメント
照合順序の変更および非 Unicode から Unicode データ型への変更の影響 SQL Server ベスト プラクティス アーティクル」や「Microsoft Virtual PC 2007 技術概要」など。