ただし、PCリモーター独特の弱点もある。起動時間の長さと、操作中のタイムラグだ。

サーバPCとPCリモーターを接続する際は、2機種の間で固体を識別するために数度のメール送受信が行われる。ネット環境に依存するが、PCリモーターの接続操作から使えるようになるまで、長くても2~3分しかかからない。ただし、サーバPC側が完全に電源オフの状態だとLuiを使うことができなくなる。屋外にいるときでも、自宅のサーバPCは通常起動しておくか、スリープ状態に留める必要がある。実際は、無駄な電力消費を避けるために、スリープ状態にして外出するのがオススメだ。ホームサーバである限りこれは仕方のないところだ。

PCリモーターの電源を投入して「リモートスクリーン」を選択。接続するネットワークをあらかじめ登録しておくと、パスワードの入力のみで、サーバPCとの接続処理を始められる

独自のメールを使って、サーバPCと固体識別を行う。サーバPCがスリープ状態にある場合は、最初にログイン処理が行われるため、その分時間がかかる

接続が完了すると、サーバPCの画面設定は自動で1,280×768ドットに変更され、デスクトップ画面のキャプチャ画像がPCリモーターに送られてくる(ポケットタイプの場合は800×400ドットで全画面表示。ドットバイドットで1,280×768の部分表示に切り替えができる)。PCリモーター側で操作した情報をサーバPCに送り、サーバPCで処理した情報を圧縮してPCリモーターに送信する仕組みだ。そのタイムラグは数十ms程度。実際に操作したところ、文字入力や漢字変換に時間のずれを感じることはなかったが、マウスカーソルを素早く動かした際に画面表示の遅れを感じることがあった。

サーバPCのデスクトップ画面は、最初に高圧縮した画像として届き、以降はデスクトップ内で変化した部分だけが低圧縮の差分データとして追加される。このため、マウスカーソルを動かせば、その軌道を追うようにしてクリアな画像に差し替わっていく。写真でも、カーソル周辺はクリアだが、メニューバーなどの触れていない部分は粗くなっている

このタイムラグは、オフィスソフトの入力やネットブラウジングなどの操作なら違和感のなく利用できるレベルだった。そして、サーバPC環境がハイスペックなら、動画編集などのヘビーな作業が安定して行えることも確認できた。ほとんどの作業は問題なくできるといえるが、即時性が求められるシューティングゲームをプレイするのだけは現実的ではない。さすがにそんな用途でLuiを使う人はいないと思うが。