CPUに関して。Eee PC 4G-Xでは、Celeron Mを定格よりもさらにクロックを落として駆動させていた。これに対しEee PC 901-Xは、まず低消費電力にフォーカスした新設計のCPU「Atom N270」を搭載した点が特徴だ。Atom N270の動作クロックは1.6GHz。さらに2スレッドを同時に実行するHyper-Threading機能を搭載している。CPU処理能力は大幅に強化されているとともに、アーキテクチャレベルでもプロセスレベルでも低消費電力にフォーカスしている。少しベンチマークを紹介しておこう。

Atomを搭載したEee PC 901-X。HyperThreadingに対応するほか、SSE3にも対応している

対するEee PC 4G-XはPentium MベースのCPU。SSE対応は2どまりであり、同時実行は1スレッドである

まずはSandra XI 2008 SP2のプロセッサ関連から。Dhrystone ALUの結果はEee PC 4G-Xが1801に対しEee PC 901-Xは3891。実に2倍以上のパフォーマンスアップを実現している。Whetstone iSSE3/iSSE2は同様に1493対3333。スコアもさることながらEee PC 901-XのAtomがSSE3に対応しているところも大きい。メモリ帯域幅も2倍近く向上している。

SSDの転送速度は、Eee PC 901-XのCドライブが30.34MB/s、Dドライブが27.61MB/s。ちなみにEee PC 4G-XのCドライブは34.05MB/sであり、ここはやや遅くなっている。例えばSLCタイプの超高速ドライブなどを利用できればまた変った体感速度が得られると思う。ちなみに、現状でもアクセス速度は1msとSSDならではのものであり、HDDと比べ比較的もっさり感が少ないのが嬉しい。

■Sandra XI 2008 SP2
Eee PC 901-X Eee PC 4G-X
Processor Arithmetic Dhrystone ALU 3891 1801
Whetstone iSSE3/iSSE2 3333 1493
Processor Multi-Media Multi-Media Int 29434 5743
Multi-Media Float 19914 6546
Memory Bandwidth Int Buff'd iSSE2 2.22 1.12
Float Buff'd iSSE2 2.04 1.15
Cache and Memory 2kB 11.05 6.01
4kB 11.42 6.03
8kB 11.51 6.22
16kB 11.86 6.22
32kB 10.96 5.62
64kB 7.37 2.78
128kB 7.09 2.96
256kB 7.22 2.73
512kB 6.61 2.61
1MB 2.59 0.826
4MB 1.31 0.62
16MB 1.27 0.608
64MB 1.28 0.605
256MB 1.27 N/A
Disk Drive Drive Index(C:) 30.34MB/s 34.05MB/s
Drive Index(D:) 27.61MB/s -

また、そのほかに3DMark06やPCMark05が動作するようになった点も大きい。これまでのモデルでこれらベンチマークが実行できなかった主な理由はチップセットの3D性能だ。チップセットがEee PC 4G-Xの915GMS(GMA900)からEee PC 901-Xでは945GME(GMA950)に更新されたほか、標準メモリ搭載量も増え、これらに伴い計測可能になったわけだ。なお、Eee PC 901-XのPCMark05スコアは1149 PCMarks。CPUが1495、メモリが2235、グラフィックスが358、HDDが1639となる。また、3DMark06は76 3DMarks。

■3DMark06 / PCMark05
Eee PC 901-X Eee PC 4G-X
3DMark06 3DMarks 76 N/A
PCMark05 PCMarks 1149 N/A
CPU 1495 1002
Memory 2235 1073
Graphics 358 N/A
HDD 1639 2175

ハードウェアの最後にバッテリーや質量をチェックしておこう。Eee PC 901-Xのバッテリーは標準で大容量バッテリーが付属する。ここが質量の面でひとつのネックとなり、質量が1.1kgとなっている。1kgというのはサブノートにとってひとつの壁で、ネットブックにとっても同様だ。といっても、賛否は分かれるが、個人的には100g重い程度であればEee PCの魅力を損なうものではないと受け止めている。良い点は、大容量を選択したためにバッテリー駆動時間は飛躍的に伸びたことだ。ネットブックを「手軽なネット接続PC」として使うには、サイズや質量とともにバッテリー駆動時間も重要である。

ASUSTeKではさらに、ソフトウェアによるバッテリー駆動時間延長も試みている。「Super Hybrid Engine」は、OS側の省電力制御に加え、CPU周波数(正確にはFSB)を可変させることで、"パフォーマンス重視"から"バッテリー駆動時間重視"まで、ソフトウェア上からハードウェア制御を行うものだ。「Super Performance」「High Performance」「Power Saving」そして「Auto」という4つのモードを備え、調査した限りではSuper PerformanceではFSBが140MHz、High Performanceでは標準の133MHz、Power Savingでは100MHzに変更される。このFSBからさらにAtom標準の高負荷時12倍、低負荷時6倍という倍率変更がかかる。Super Performanceでは840~1680MHz、High Performanceでは800~1600MHz、Power Savingでは600MHz~1200MHz、といった具合だ。このような具合で公式でのバッテリー駆動時間は8.3時間。では実際のところを検証してみたのが下記の表だ。

■バッテリー駆動時間
30分後 1時間後 予想バッテリー駆動時間
SuperPerformance 87% 75% 4時間
HighPerformance 87% 76% 4時間強
PowerSavingMode 89% 79% 5時間
※テスト環境 : ワイヤレスLAN有効、液晶輝度最大、ボリューム3/10、WMP10にてMP3をループ再生