これだけ豊かな自然と共存していれば、人々の自然に対する慈しみと畏敬の気持ちもおのずと強くなるのだろう。ニュージーランドはエコ大国としても知られている。だが、ヨーロッパ諸国の理論的かつシステマチックなエコとは一異なり、使えるものは長く使い、ムダな生産を省いてできるだけゴミを出さないといったシンプルなスローライフによってエコを実践している。ファッションにしてもシンプルで、長く着られるものを好み、一般の家庭では外食などもほとんどしない。
観光は町の経済を支える重要な産業だが、一方、、年間100万人ともいわれる観光客が出すゴミや資源の浪費、また観光事業がもたらす自然への影響が町の課題となっていた。そうした中、ホエールウォッチツアーでは、海中のエンジン音を最小限に抑えた船を用いたり、大学の研究チームとともに同ツアーがクジラに与える影響の調査などの活動が続けられている。海洋生物の生態を観察できるマリンセンターのオープン計画も進行中だ。さらにエコプロジェクトとして、観光客が木を植えることで、ニュージーランドまでの渡航で排出したCO2をオフセットする植林活動など、様々な取り組みがあり、その結果、カイコウラは2002年に持続可能な旅行・観光産業を目指すための国際標準評価基準「グリーン・グローブ」に町として世界で初めて認定されている。
このように、自然と共存しているニュージーランドへ訪れたときには、ホテルでの電気や水の節約など、暮らし方でもニュージーランド・スタイルをぜひ楽しんでもらいたい。そうすれば自然も人々もあたたかく迎えてくれるだろう。