最後に消費電力比較とビデオ機能に関して少し紹介しておこう。まずは消費電力。結果はほとんどRadeon HD 3450と変わらずというものだが、Radeon HD 3450自体かなり低消費電力なカードであることもあり、Chrome 430 GTはRadeon HD 3450に比肩する省電力性能と言えそうだ。なお、Chrome 430の省電力機能は「PowerWise」と名付けられているが、実際にどのような制御を行っているのかは資料がない。
ビデオ機能に関しては、まず再生支援機能は検証することができなかったため省くとして、ビデオエフェクト機能を紹介しておこう。画面のプロパティからS3 Graphics ScrrenToysを開くと、Advancedという項目にChromotion Videoという項目が現われる。ここでEffect/Filterから様々な効果を映像に対して加えることが可能だ。あまり実用性があるとは言えないがネオンであったりエンボスであったり、実用的なところではシャープやソフト、スムーズなど。Windows Media Playerでもこの効果を試すことができる。なお、HDビデオ再生支援機能に関してホワイトペーパーを見ると、DirectX Video Acceleration(DXVA)に対応しており、主要なサードパーティ製ソフトウェアデコーダーで利用できるとされている。
まとめ
条件こそあれRadeon HD 3450を上回り、ゲームテストでも良好な性能を秘めている、というのが今回のChrome 430 GTの検証における感想だ。あとは価格勝負ということになるが、こちらも実売7000円前後となかなか魅力的である。また、SFF PCでは、カードを挿す場合にはケースの制約から来るサイズ制限があり、エアフローを考えればより小さなカードがベストであり、そしてそれが低消費電力であればなお良し。ここがChrome 430 GTのポイントとなりそうだ。
ディスクリートグラフィックスというと、ATIとNVIDIAに目を奪われがちである。だが、S3 Graphicsは2強にやや後れをとりつつも、これまでChrome S27、そしてChrome 400と、トレンドを取り入れたGPUを投入している。それに加えチップセット統合GPUとしての実績もある。エントリーセグメント1筋ではあるが、この実力を評価したい。