――試作品の完成度を高めてゆく中で、分かってきたことはありましたか?

「実は、試作品の段階では、セリフが聞こえるだけで、ボタンを押す音は入れていなかったんです。そうしたら、なんか違うなと。それで、アニメを見返してみると、"ああ、このボタンを押す音が足りないんだ"、と」

――そういえば、アニメでは、ボヤッキーの「ポチッとな」というセリフの後に、ボタンを押す音が聴こえますよね。前後関係が逆になっているわけですが……。

「そこもイメージなんです。視聴者の方々の頭の中にあるイメージを具現化すると、こうなるんですね」

――一見単純な商品ですが、なにかこだわったところはありましたか?

「ボタンのオモチャがたくさんある中で、究極のボタン商品を作りたいということで、押したときの『ポチッ』という音とそれに続くセリフをどういうタイミングで出すか、0.1秒単位でいろいろと仕様を変えて作って、どれが気持ちいいか比較しました」

――かなりこだわって開発されたんですね。ほかにもこだわった点はありますか?

「もう1つは、感触ですね。硬すぎず、軟らかすぎず、気持ちよく押せる感触にしています。試作したときは、"カチャッ、カチャッ"という感じだったんですけれども、それだとヤッターマンのオモチャとしては物足りないということで、絶妙の調節をしています」

――ほかにご苦労なさった点は、どこでしょう?

「ほかには、サイズですね。手のひらにちょうど収まるサイズにしようということと、同時に音質にもこだわって、クリアに聴こえるよう、中に入れているICも品質の高いものを使用しています」

「ポチッとなボタン」は、手にすっぽり収まるサイズ

――といって、あまり高価なものになってしまっては、困るわけですよね。

「値段も1,260円ということで、ちょっと売り場で"バカだなあ"と笑っていただきながら、お出しいただける価格に設定しています」」

――そのあたりのバランスも重要ですね。

「比較的お買い求めいただきやすい値段で、サイズも大きくしたい、音質もよくしたい、という中で、この形にまとまるまでに、何度か試行錯誤はありましたね。企画としては、まとまりやすかったんですけれども、商品化の段階で、最終的にこれならいける、というところにたどり着くまでには、結構、時間がかかりましたね」