――次に日本国内に話を移しますと、UMAとして最も有名なのがツチノコですね。
「日本を代表するUMAですね」
――ツチノコのイメージとして、かなり攻撃的な性質だという目撃談が多いように思いますが……。
「あれはやはり、1973年に漫画家の矢口高雄先生が『週刊少年マガジン』に連載された『幻の怪蛇バチヘビ』から起こったバチヘビブーム、"バチヘビ"っていうのは矢口先生のお生まれになった東北地方でのツチノコの呼び名なんですけれども」
――はい。
「あの作中で、かなり攻撃的に描かれていたんで、多分そのイメージがあるからじゃないでしょうか」
――なるほど。
「でも、目撃談の中には人間を見たら逃げていくとか、キョロキョロとした目をした、かわいいツチノコというのもあるんですよ。どっちなのかは、まだ分かってませんね」
――目撃談もいろいろなうえに、呼び名もいろいろあるんですね。
「ツチノコというのは、農具の一種で藁を叩くのに使う鎚からきている名前です。地方によっていろんな呼び方があって、先ほどのバチヘビとか、あとツチヘビ、ツチコロビ、ツチンコとか。まあ、ツチノコというのが全国的に普及している名前ということですね」
――それぞれに語源があるわけなんでしょうね。
「"バチ"って尻尾が短いっていう意味らしいんですね。"ツチコロビ"っていうのは、コロコロ転がったりするっていう目撃談からきてるんですよ」
――それだけいろいろな呼び名があるということは、日本各地で目撃されているということですよね。
「そうですね。北海道を除く全国各地。沖縄でも目撃談があると聞いています」
――当然、ツチノコも探しにも行かれたんですよね。
「ええ、岐阜県の東白川村というところに行ってきました」
――例によって、現地の方と仲良くなって、お話をお聞きになったわけですか?
「知り合ったおばあさんがお風呂に入れてくださったりとか、畑によく出るそうで、そこへ連れてってもらったり(笑)」
――天野さんが考えるツチノコの正体って、どんな生き物なんでしょう?
「よくヤマカガシの突然変異だとか、カエルを飲み込んだアオダイショウじゃないかとか言いますけど、地元の人たちがそんなのと見間違えるはずがないと」
――ヘビでないとすると、何なんでしょう?
「決定的なのは、瞬きをするというのと、あと活発なんですよね、跳んだりはねたり。これはヘビではあり得ないなと。私はトカゲ類じゃないかと思ってます」
――ヘビは瞬きしないですよね。
「目が膜で覆われていてマブタがないですから。トカゲの未発見種じゃないかと思いますね」
――イリオモテヤマネコにしても、ヤンバルクイナにしても、確認されたのは、昭和の時代に入ってからですね。
「新種がいる可能性は否定しきれないですね。シーラカンスがそうでしたから。あと、カモノハシとか。学者さんは、みんなウソだと言ってましたからね。哺乳類が卵を産むはずがないとか。ですから、何がいるか分かんないですね」
――先ほどのネッシーの場合と同様、地元は盛り上がってるんですか?
「ツチノコで村おこししてますね。ツチノコ資料館というのがあります。目撃談の展示パネルやツチノコを捕まえるサスマタという道具が置いてあったり、ツチノコのぬいぐるみを売ってたりとか」
――じゃあ、そこに行かれた方は、いろいろ買って帰られたりするわけですね。
「私はコンプリートしました(笑)」