内部に注目してみると、トランジスタの増加分がストリームプロセッサとテクスチャユニットなどに割り当てられていることがわかる。ストリームプロセッサ数は800基で、Radeon HD 3800シリーズと比較すると2倍以上。テクスチャユニット数も40基に増え、こちらも倍以上の実装となった。これに加え、テクスチャユニット・レンダーバックエンドの最適化や、SIMDコアの再デザインなども行われており、さらにジオメトリシェーダーとテッセレータのパフォーマンスを引き上げているという。これら強化の結果、1TFLOPSの演算性能を持つというのがRadeon HD 4850のうたい文句である。なお、コアクロックは、Radeon HD 3850と比較して45MHzほどげられている。
メモリ周りはRadeon HD 3850から見ればほとんど変更が無い。バス幅はこれまでどおり256bitであり、利用するメモリもGDDR3メモリである。唯一変わっているのは容量で、Radeon HD 3850では256MBだったところ、512MBへと増加している(ただし多くののRadeon HD 3850カードは独自に512MB搭載していた)。今回試したRadeon HD 4850カードのクーラーを外してみて気付いたのはGDDR3メモリにQimonda製チップを採用していたことだ。思い出すのは、「次世代Radeon HDシリーズにGDDR5メモリを採用する(当時)」とAMDとQimondaが合意している点だが、これがGDDR3のRadeon HD 4850カードにも影響しているのだろうか。なお、メモリクロックは1986MHz(DDR)で、Radeon HD 3850から300MHzほど引き上げられており、帯域で比較しても10.5GB/secほど向上している。
カード外観から確認できる点をチェックしていこう。Radeon HD 4850では、消費電力の低さから、PCI Express用補助電源コネクタは6ピン1つの構成だ。このことはRadeon HD 3850と同様。あまり高価な電源でなくとも最近の製品では6ピンコネクタを搭載しているので、組みやすいという点で評価できる。リファレンスカードのクーラーは引き続き1スロットタイプ。パッと見ではRadeon HD 3850のリファレンスクーラーとあまり変わらないが、銅のヒートシンクが若干上部に大きくなっていたり(これはホールのレイアウトが変わっていることが関係しているのかもしれない)、搭載ファンの羽根の数が増えていたりといったところが異なる。
Radeon HD 4850では1スロット厚のクーラーを採用している |
カードの長さはRadeon HD 3850、GeForce 8800 GTS 512と同様。ファンの大きさはあまり変わらないが、羽根の多いタイプを採用している |
そのほかUVDは初代UVDから拡張された「UVD 2」を搭載している。UVD 2ではハードウェアデコードがH.264、VC-1、MPEG-2に拡大されているほか、2ストリームのプレイバック(あるいはPinP)が可能だ。また、Avivoにおいては、DVDのHD画質へのアップコンバート、自動ダイナミック・コントラスト・アジャストメント機能が新規に追加されている。DVDやBlu-ray・HDビデオ視聴の用途に関しても高性能な製品である。