ここまで、簡単ではありましたが、Aptanaのインストールから、簡単なサンプルを作ってみるところまでを解説してみました。Adobe AIRのアプリを開発する雰囲気を掴んでいただけたのではと思っています。

AIRの開発では、これまで、Web用に作ったものを、そのままデスクトップアプリケーションに変換することもできます。そして、もし、Ajax開発で培った技術があるなら、それを最大限に活かして、デスクトップアプリケーションを作ることができるのです。(今回のサンプルでも、既存のAjaxライブラリの代表であるjQueryを使っています。)新たに覚えることと言えば、ローカルファイルの扱いなど、AIRに固有の機能だけです。

Webブラウザの中で動くアプリケーションでは、そのサイトを訪れるだけで使えるようになるのが利点なのですが、その反面、作りこめば作りこむほど、ブラウザの中で動かすことの限界を感じるようになります。例えば、各機能へのショートカットキーを提供したくても、ブラウザのショートカットキーと衝突してうまく機能しなかったり、特定のブラウザでしか動かないなどの問題です。AIRを使うことで、これらの問題を解決することができます。

ただ、現在のAIRの欠点としては、ローカルファイルへのアクセスができるとしても、セキュリティの制約が厳しく、できることが限られていることです。実行ファイルを起動することもできませんのでランチャーを作ることはできませんし、レジストリなどシステム設定を変更するような危険なアプリケーションも作れません。

しかし、多くのデスクトップアプリケーションでは、これらの制約と無縁です。時計や計算機、カレンダーなどのアクセサリをはじめ、各種のニュースを表示するティッカーや、お絵かきツールなど、さまざまなアプリケーションを、AIR で作成することができます。本稿が、AIR をはじめるきっかけになれば幸いです。

続きは、書籍で!~「Adobe AIRプロフェッショナルガイド」

最後に、Adobe AIRの本を書きましたので、紹介させてください。

著者:クジラ飛行机
定価:3,990円(税込)
B5変型判 448ページ
ISBN978-4-8399-2851-3
発売日:2008年06月25日

この本では、Adobe AIRを始めるにあたって必要となる知識を一通り解説しています。AIRの開発では、HTMLとFlash、どちらか好きな技術をベースにして開発することができますが、どちらで開発したら良いのかと迷うという声も聞きます。そこで、前半では、気軽に始められる HTML/JavaScriptを使った作り方を紹介し、次に、Flex/ActionScript 3.0で作る方法を紹介します。

後半では、AIRならではの機能であるドラッグ&ドロップやファイル処理、ローカルデータベースなど、Webブラウザでは実現不可能だった魅力的な機能を紹介しています。JavaScriptとActionScriptは兄弟言語でありますが、AIRのコア機能の使い方が違う面もあります。そこで、それぞれどのように記述するのか、それぞれのサンプルを載せています。

HTMLやJavaScriptについてプログラミングの初歩や文法についてもしっかり解説していますので、それほどプログラミング経験のない人でも、簡単なAIRアプリケーションを作ることができるようになるでしょう。Webの技術をある程度知っている人ならば、さくさく読み進めることができます。ぜひ、本書を片手にAIRの魅力を体験してみてください。