気軽に作成できてもブログは個人的なものではない
一般にブログは、不特定多数の人がアクセスできる状態でネット上に置かれるものなので、ブログへの掲載は「公表」にあたります。自分自身で書いた言葉や、撮影した写真には「著作権」がありますので、他人から無断で複製・掲載されることを拒否することができます。逆に、自分のブログに他人のブログ等に掲載された文章や写真や画像を、自作のものであるかのように掲載することは、著作権法に違反することになります。この著作権は、肖像権とは別に発生する権利で、仮に掲載した写真が他人の「肖像権侵害」ということで削除しなければならなくなったとしても、削除前の当該の写真作品を無断で複製・掲載した者がいた場合には、自分自身の著作権にもとづいて、無断掲載をやめてもらう権利が、撮影者にあります。
著作権が発生するために必要な"創作性"は、いわゆる芸術写真のように高度で意図的なものでなくてもかまいません。スナップ写真はシャッターを切る瞬間の撮影者のセンス、構図の独自性というものが含まれ、創作的要素があるということができるので、ほとんどの場合には撮影者に著作権があると言えます。一方、創作的要素を含まず、技術的要素のみで撮影する証明写真には、著作権は発生しません。
自分の経歴や所属団体や行動記録など、自分の事実に関する情報をブログに掲載したときは、その事実に関して、自らプライバシー権を放棄したことになります。したがって、公表された事実に関する記載内容を他者が他の記事などに使用するときには、「引用」の範囲内といえるものであれば、正当な行為ということになります(引用された本人は拒否できないことになります)。しかし肖像写真の場合、公表された肖像のコピー使用は、文章の場合よりも厳格に肖像権侵害とみなされる傾向にあるようです。
もっとも最近のブログには、メンバーを限定したり公開範囲を限定したりして、「私的な」グループのレベルでの情報共有にとどめるものがあります。この場合には本人の意志によって、完全な「公表」とはしていないわけですから、掲載された写真や情報を本人の承諾なしにネット上の、完全に不特定多数者がアクセスできる公開の場(外部ブログなど)や印刷媒体に流用することは、文章であれば著作権法上の「公表権」の侵害となりますし、肖像についても、肖像権侵害となると考えられます。