アドベンチャーパートはかなりあっさり。ここが評価の分かれ道
従来、"ドラマチックアドベンチャー"というジャンル設定がなされていたところからもわかるとおり、「サクラ大戦」シリーズは「アドベンチャーパート」が肝である。しかし、本作はジャンルからして、"ドラマチックダンジョンRPG"となっているように、どちらかというと「ダンジョンRPG」部分に比重が置かれている(気がする)。そのため、かなりアドベンチャーパートはあっさりとした味付け。基本的にこういったゲームは、アドベンチャーパートを通して登場キャラクターを理解していくものだが、本作はそのあたりがすっ飛ばされている。逆に言えば、登場キャラクターについてすでに理解していることがプレイの条件と言ってもよいかもしれない。
とにかく、キャラクターへの"愛"がアドベンチャーパートのすべて。ここで楽しめないならやる意味がない…… |
「Cさん、すみれって"ツンデレ"ですか?」
「高飛車なお嬢さまですが、"ツンデレ"というのはちょっと違う気がしますね」
「Cさん、マリアって"ツンデレ"ですか?」
「"ツンデレ"というより、いわゆる"クーデレ"といったほうが合うかもしれませんね」
「Cさん、アイリスって"ツンデレ"ですか?」
「あんたは"ツンデレ"以外に興味なしかー」
実際のところ、本作のウリの1つは、三華撃団揃い踏みである。帝都、巴里、紐育のメンバー、総勢18名がヒロインとして登場する。つまり、1人1人のストーリーなんて語っているヒマはないわけである。そう考えると、本作の設定は仕方のないところかもしれないが、「登場キャラクターを理解していないと非常に辛い」。これだけは覚えておいてもらいたいところである。
ダンジョンパートのバランスがさらなる評価の分かれ道
となると、ダンジョンRPGがメインかというと、そうでもないのが厳しいところである。"ドラマチックダンジョン"とはいえ、やはり「アドベンチャーパート」は「サクラ大戦」シリーズにおいて欠かすことのできない要素。ダンジョンで手詰まりになって「アドベンチャーパート」はもとよりストーリー自体が進まないようでは本末転倒もはなはだしいところである。それだったら、最初から「シレン」をプレイすればよいだけだ。おそらく、開発陣もこのあたりのバランスにはかなり気をつけたと思われる。
「ドラマチックダンジョン」というタイトルどおり、本作のメインは「ダンジョンRPG」。ヒロインたちを引き連れてガンガン進んでいこう |
しかし、ゲームバランスとは恐ろしいもので、「サクラ大戦」ファンにとっては手強いダンジョンも、「シレン」好きにはかなり手ぬるかったりする。事実、第一話となる帝国華撃団がメインのダンジョンはかなりユルイ印象だ。まず、ダンジョン内を1人で行動することはほとんどない。だいたいペケジ、もとい華撃団のメンバーが同行する。それも多くの場合3人のヒロインと一緒。つまり4人パーティーでの行動となる。しかも、ヒロインたちはかなり優秀。さらにドンドンと各種スキルを身に着けていくので、プレイヤーが手を下さなくても勝手にクリアできそうな勢いである。このあたりは設定しだいという側面もあるのだが、「モンスターハウス」が単なるレベルアップ道場になってしまうケースも少なくないのである。
仲間との連携攻撃も可能! プレイヤーが操る大神や大河との組み合わせだけでなく、ヒロインたち同士でも発動する |
恐怖(?)の「モンスターハウス」ももちろん登場する。とはいえ、仲間がいればたくさんの敵もあまり怖くなかったり…… |
予想外の手強さ……。甘く見すぎると痛い目に
第2話では、プレイアブルキャラが大神一郎から大河新次郎にチェンジする。そう舞台は紐育である。基本的なゲームシステムは第一話と同じ。紐育華撃団のメンバーとのアドベンチャーパートをこなしつつ、大河新次郎としてダンジョンに挑むわけだ。第一話でユルさを体感した私は、鼻歌交じりでダンジョンに突入した。武器やアイテムなどは、第一話の最後に所持していたものがすべて引き継がれる。イチからのやり直しではない。これを余裕といわずして何とする、といったところである。……しかし、世の中はそんなに甘くはなかった。アイテム類は引き継がれるものの、キャラクターのレベルは初期状態。すなわち、弱いのである。ところが、ダンジョンのレベルだけはなぜかアップしている。うかうかしているとあっさりHP0……。なんで急に骨のあるゲームになるのかなあ……。
「壺」が「袋」だったり、「巻物」が「封紙」だったりするが、基本的にはおなじみのアイテムが揃っている |
「合成の壺」ならぬ「合成の袋」。袋なので、合成後は「わる」のではなく「やぶる」で取り出すことになる |
「風来のシレン」シリーズをプレイしたことのある人ならわかると思うが、この手のゲームにおけるゲームオーバーはかなりの厳しさと悲しさを秘めている。鍛え上げた刀や盾はなくなり、レベルもお金も元通り。倉庫の中身を除けば、それまでの苦労がすべて無に帰してしまう。しかし、そこは「サクラ大戦」。ダンジョンをクリアできないという理由で、ストーリーを止めるわけにはいかないのである。このあたりの仕様は、人によって評価の大きく分かれるところだと思うが、DS『サクラ大戦~君あるがため~』の場合、HP0になってもあまり大きなダメージにはならない。とりあえずダンジョンから指令室に戻されるのだが、その際、装備しているアイテム"以外"はすべて消える。そう、つまり装備している武器やアイテムはそのまま保持されるのだ。しかも、お金やレベルもそのまま。どんなにダンジョンRPGが苦手な人でも、何度かチャレンジしていれば、いつかはクリア可能なわけである。繰り返していけば、レベルも上がるし、装備品も強化できるからだ。
「サクラ大戦」ならではのアイテムも多数用意されている |
ダンジョン内で倒れた場合、救助要請も可能なのだが…… |
アイテムがなくなりにくいので、倉庫の役割もかなり変わってくる |
先にも述べたが、このシステムは非常に評価の分かれるポイントだと思う。こんなにユルくて何がダンジョンRPGだ、と思う人もいるだろう。しかし、これは「不思議のダンジョン」ではない。あくまでも「サクラ大戦」である。「アドベンチャーパート」あっての「サクラ大戦」なのである。
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