――そして、その小麦ちゃんの役をおやりになった後に、初めてのアニメ主題歌をお作りになる機会が巡ってきますね。

「『The Soul Taker』っていう物語はすごくシリアスでかっこいい作品なんですけど、小麦ちゃんだけがいわゆる萌えだったから、スタッフの中でも人気になって『小麦ちゃんで、なんかやりたいよね』ってなって……」

――なるほど。

「で、『The Soul Taker』のDVDの映像特典で、『小麦ちゃんを主人公にしたアニメのオープニングだけ作ろう』ってなったんですよ。『じゃあ私、曲作りまーす』って、『愛のメディスン』ていう曲を作って、それに絵をつけていただいて」

――その後、いよいよUNDER17を結成されるわけですね。

「いわゆる萌えブーム前夜だったんですよ、当時。で、2002年に結成したんですけれども、なんとなく、アニメソングの作り手側と受けて側に距離がある感じがしたんですよ」

――はい。

「もっと、萌え声だったり、明るかったり、はじけてたりする曲が聴きたいけど、でも、音楽的にちゃんとしたものをプロの人は作るじゃないですか。だから、UNDER17はある種パンクに、ホントにアニメとか美少女ゲームが好きな人に聴いてもらえる、そういう音楽をやろうと思って。私がそういうの好きだから」

――その活動のキッカケは、なんだったんでしょう?

「結成のキッカケになったのは、コミックマーケットだとかすごくたくさんの、いわゆるヲタクの人が集まる場所、例えば美少女ゲームの展示会、そういうところで当時は、あんまりライブとかなかったんですね」

――イベントに音楽の要素があまり含まれていなかった……。

「あまりなくて、大体が開発者トークショーだったんですよ(笑)。メインステージのイベントが」

――それは、地味ですね(笑)。

「こんないいステージで、ここでライブやればいいのになあと思って。これだけたくさんの人が来ててね、みんな無料配布の物だけもらって帰るのって、もったいないじゃん。なんかもっと思い出作りができるようなことができそうなのに、と思って」

――確かに、そうですね。

「そこで音楽のもっとノリがいいやつをやって、みんなで盛り上がったりしたら絶対楽しいぞ、と思って。で、インディーズのときからアレンジしてもらっていた小池雅也さんに、ギター背負って出てくれって。最初はすごく拒否られたんですけど(笑)」

――そこを無理に……(笑)。

「『いや、お願いだからギター背負ってコスプレして出て』って(笑)。だから最初のUNDER17は、小池さんはコックさんの格好で、私はメイドの格好で」

――当時、そういう格好をして歌うのは、新しかったんじゃないですか。さらにメガネとか……。

「コスプレして歌うのはなかったですね。メガネもしてました。メガネをしてるのはなんでかっていうと、メガネっ娘萌えだと思ってて、新しかったっていうのと、あとヲタクの人ってメガネ率高いから、『私はヲタクですよ』って言いたかったんです。メガネによって」

――音楽的には、どういった路線だったんでしょう?

「とにかくテンポが速いやつ。激しくて、踊れて、で1回で憶える。1回で憶えられるっていうのが重要で、当時は美少女ゲームが発表されると、秋葉原の店頭デモにすごい人だかりができてたりするわけですよ」

――そうでしたね。

「その店頭デモで映える曲っていうのが、UNDER17の目指すところでもあったんですよ。それを本気でやりたいと思ったんですね」

――なるほど。

「いわゆる18禁ゲームの曲を私も聴いたりしてたんですけど、誰が作ってるのか分からないものが多くて、同じ人のほかの曲も聴きたいのに、っていうことが多かったんですよ。だから、わたしは堂々と名前も出してやろうと」

――はい。

「18禁ゲームの曲でも、すごくいい曲もあるんですよ。だから、UNDER17ていう名前にしようと」

――「まだ、18歳に達していない」と……。

「そういう人も聴けるよ、っていう感じにしたいなあと思って。で、『通称アンセブとか言ったらいいな、フフフ』とか。なんか、それっぽいなあと思って」