ラインハートさんの本格的な名作仕掛け絵本である『シンデレラ』も、華麗なドレス姿のシンデレラや馬車の構造に目を引き付けられながらも、仕掛けでガラスの靴を履かせるなど心憎い手法がたくさん。『ジャングルブック』では、何が出てくるのか期待していると、高さ50cmほどもあるサルの山が飛び出した。

「完敗です……」

最後まで私の想像が及ばない仕掛けの数々によって、驚くばかりだった同展。「次に何が起こるか分からない"驚き"を作りたい。そのために細かい部分に気を使い、苦労する」とサブダさんは話していた。あれほどにも紙を組み合わせているのに、開く時に紙の擦れるような音など一切しない。何もなかったように1冊の絵本に戻る。大人になって仕掛け絵本に再び出会い、いつも新たな驚きをくれる芸術だと再確認した。

ラインハートさんの最新作である『シンデレラ』は全ページが展示されている

妖精のおばあさんが魔法の杖でカボチャを馬車に、白ネズミを白馬に変えた「シンデレラ」の名場面。大きなネズミは、太った御者に変身?!

仕掛けの無限さを感じる高さ50cmほどもあるサル山が出現。『ジャングルブック』の生き生きとした物語に引き込まれる

会場内ではミュージアムショップも展開され、同展で紹介する作品はもちろん、国内外の様々な仕掛け絵本を販売。同展オリジナルカタログやギフトカードなど、会場限定商品も見逃せない。時間は10:00~20:00(最終日は17:00閉場、入場は閉場の30分前まで)。入場料は一般800円、大学・高校生600円、中学生以下無料。

照明を落とした会場内で、ゆっくりと絵本の仕掛けが浮かび上がる

プレゼントにもインテリアにも良さそうな仕掛け絵本がずらりと並ぶ会場内のミュージアムショップ

実際に仕掛け絵本『不思議の国のアリス』のページをめくる。自分の手で開くと興奮は倍増! あちらこちらでも大人がページをめくりながら歓声を上げていた