会場には雪の多いミシガンで育ったサブダさんらしい"白い世界"の作品も見ることができる。サブダさんも作品を前に改めて「白の紙は色々な色の光を反射したり、影が出たり、仕掛け絵本にとって非常に大事。白の効果は素晴らしい」と語った。作品からシンプルな美しさを感じ、ページを開く時とはまた別の感動があった。

サブダさんの作品『冬ものがたり』

サブダさんの作品『クリスマスの12日』

サブダさんとラインハートさんの共同制作による『太古の世界 三部作』はダイナミックな仕掛けによって迫力満点だ。大学で生物学を専攻したラインハートさんが文章と動物の描写を手掛け、サブダさんが仕掛けを考えた。併せて展示されたスケッチ画などの制作過程を見ても、「恐竜時代」「シャーク」「メガビースト」のハイライトシーンが巨大な仕掛け絵本へと生まれ変わる過程は想像できない。それほど通常1年掛かるという仕掛け絵本作りの技術と表現力は、並々ならぬものなのだろう。『恐竜時代』では、35を超える恐竜をリアルに生き生きと再現した仕掛けのテクニックが見所。"恐竜立体百科図鑑"とも言え、恐竜の表情は子供が泣き出してしまいそうなほど迫力がある。

仕掛け絵本の制作はスケッチ画から通常1年は掛かるという。紙を折り曲げてみたり、仕掛けのイメージを少しずつ膨らませていく

ページを開けば恐竜が襲い掛かってくるよう。怖いが開かずにはいられない

マンモスが顔を出すのページでは太古の世界を間近に感じられる

ラインハートさんのコーナーでは、SF・ファンタジー映画『スターウォーズ』の銀河の世界まで仕掛け絵本になっていて圧巻だ。ボタンを押すとダースベイダーの顔が動くのと一緒に、あの不気味な呼吸音も流れ出し驚かされる。さらに両サイドからはライトセーバーを構えて対面するダースベイダーとルークスカイウォーカーが現れ、また驚かされる。息もつけない映画の展開と同じだ。

ダースベイダーの不気味な呼吸音とともに、ライトセーバーを持って対面するダースベイダーとルークスカイウォーカーの名場面が現れる

恐ろしいダースベイダーも仕掛け絵本の制作過程では白い紙が組み合わされただけ

愛嬌のあるキャラクターの雰囲気が伝わってくるページ「R2-D2とC-3PO」