独自の様式で人気がある画家アメデオ・モディリアーニの油彩・素描約150点を一望できる国内では過去最大規模の「モディリアーニ展」が26日、東京・六本木の国立新美術館で始まった。この展覧会では、これまであまり注目されなかったモディリアーニとプリミティヴィズム(原始主義)との関係に着目。原始主義の影響を色濃く示す「カリアティッド」の作品群が、どのような変遷を辿ってモディリアーニ独自の様式を持つ肖像画に至ったかを、幅広い作品によって実証していて興味深い。6月9日(月)まで。
モディリアーニはプリミティヴィズムの前衛画家だった!
イタリア・トスカーナ地方出身のアメデオ・モディリアーニ(1884~1920)は、20世紀初頭にパリへ渡り、エコール・ド・パリを代表する画家として活躍した。瞳のない目を持つ仮面のように虚ろな表情、異様に長い顔や首など、モディリアーニが描く独特の様式を持った肖像画は、これまで見る人に多くの謎と疑問を与えてきた。モディリアーニは、なぜこんな風に人物を描いたのか? その答えを探ったのが、今回の「モディリアーニ展」だ。
この展覧会を監修したパリ・ピナコテーク美術館館長のマルク・レステリーニ氏は、モディリアーニに対する学者や研究者の評価は不当に低いものではないかと考えてきた。これまで再評価の展覧会がいくつか開かれ、新たなモディリアーニ像が提示されてきた中で、最後に残されたテーマが、モディリアーニに対するプリミティヴィズムの影響だったと語る。そのことを実証する展覧会によってモディリアーニの名誉回復を図ろうと、レステリーニ氏は考えた。
展覧会では、モディリアーニの14年間にわたる芸術家としての活動を、4つの時代に分けている。会場の流れに沿って、モディリアーニの変遷を見てみよう。