広くなったファンダー、阿吽のAF

Kiss X2のファインダー視野角を計測したところ、約22.0度(対角)だった。EOS 40D(約23.7度)やD80(約23.7度)よりも若干狭いが、α350(約20.1度)やD60(約20.4度)、Kiss X(約19.0度)よりもずいぶん広い。実際に使っていても狭さは感じず、このクラスとしては十分な広さとしていいだろう。

オートフォーカスだが、やはりキヤノンは早い。中央の測距点を使ういつものテストでは、EV5の明るさで平均0.9秒、EV1で平均1.3秒だった。「EOS 40D」には及ばないものの、このクラスとしては非常に速い。

しかも、ピントを合わせたい位置にちゃんと来るのがいい。今回の作例撮りは動物園へ行ったのだが、手前に檻があってもちゃんとその向こうの動物達にピントが合う。もちろん近くのものに合わせようとすれば正しくそちらに合う。このあたりの阿吽な感じはキヤノンのノウハウによるものだろう。とても快適だ。

Kiss X2のファインダー像。驚くほど広いというわけではないが、十分な広さ

AFポイントは9点の自動選択か、任意の1点を選択する方式

中央のAFポイントを使用し、合焦(撮影)までの時間を計測した。右の表がそれ
EF-S 18-55mm F3.5-5.6 IS / Large+Fine(JPEG) / 55mm(88mm相当) / マニュアル(F5.6、1/60秒) / ISO 100 / WB:オート / PS:スタンダード

EV5の明るさ(暗い室内程度)で平均0.9秒と、フォーカスは速い。EV1(非常に暗い状態)での斜線を別にすると、ターゲットにかかわらず安定した速さだった

金網越しに孔雀を撮影。速いだけでなく、イメージどおりにピントが合う
EF-S 55-250mm F4-5.6 IS / Large+Fine(JPEG) / 116mm(186mm相当) / 絞り優先AE、補正-0.3EV(F6.3、1/60秒) / ISO 800 / WB:オート / PS:スタンダード
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左と同一の場所で撮影。なぜかソフトフォーカスのような写真になってしまった
EF-S 55-250mm F4-5.6 IS / Large+Fine(JPEG) / 250mm(400mm相当) / 絞り優先AE、補正-0.3EV(F6.3、1/100秒) / ISO 800 / WB:オート / PS:スタンダード
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ブランコでも高い確率で追従する

コンティニュアスAF(AIサーボ)でブランコを連写してみた。AFポイントを中央固定にすると、かなりの確率でブランコを追いかけてくれる。ただ、ブランコが手前に近寄るときはほとんど外さないのに、向こう側へ離れて行くときは遅れがちになる傾向があるようだ。それにしても、このクラスとしては十分以上の追従性能だろう。

ただ、AFポイントをすべて使用する自動選択にすると、背景にピントを取られてしまうことが多かった。わかっている人はちゃんと切り替えるだろうが、このクラスではカメラに詳しくない初心者が使用することを考えると、もうひと工夫あってもいいのではないか。カメラはむしろ初心者向きのモデルこそ高性能が必要なのだ。

ちなみにキヤノンの呼び方では、「ワンショットAF」がいわゆるシングルAFのことで、「AIサーボAF」がシャッター半押しでも追従するコンティニュアスAFのこと。「AIフォーカスAF」はシングルで合わせた後、被写体が動くと自動で追尾に切り替わる方式だ。

十字キーの左側ボタンで「ドライブモード」を選択できる

十字キーの右側ボタンで「AFモード」の選択。AIサーボはいわゆるコンティニュアスAF

連写1~3。AIサーボでブランコを撮影。AFポイントは中央固定
EF-S 18-55mm F3.5-5.6 IS / Large+Fine(JPEG) / 39~55mm(62~88mm相当) / 絞り優先AE(F4.5~5.6) / ISO 200 /WB:オート / PS:スタンダード

連写4~6

連写7~9

上と同じ状態だが、AFポイントを自動選択で撮影。背景にピントを取られてしまった

レンズにそれぞれ手ブレ補正機構

Kiss X2とセットになるレンズ2本、「EF-S 18-55mm F3.5-5.6 IS」と「EF-S 55-250mm F4-5.6 IS」は、どちらも手ブレ補正機構を内蔵している。どのくらい手ブレ補正効果があるかチェックしたところ、シャッタースピード換算で18-55mm ISは最大で2段強、55-250mm ISは最大で3段程度の効果が確認できた。十分な補正効果といえる。

気になった点は、特に18-55mm ISが少々安っぽいこと。動きが軽すぎ、カタカタと音がする。特にKiss X2本体がしっかりしていることもあり、その落差が気になった。まあ、この値段(3万3,000円)で手ブレ補正が付いているのだから、文句を言うべきでないのかもしれない。動作そのものは非常に軽快で、合焦時のノイズも少ない。

また両レンズとも望遠寄りの開放で、周辺光量が極端に落ちることがあるようだ。18-55mm ISについては、下のノイズの画像を見てほしい。そういった写真にするのならいいが、フラットに撮影したい場合は、少し絞り込んで撮影したほうがいいだろう。

55-250mm ISは、タムロンの「AF 28-300mm F/3.5-6.3 XR Di VC」と比較撮影を行なっている。こちらも参照してほしい。

手ブレ補正のオンとオフで、どのくらいヒット率が変わるかを調べたのが下のグラフ。写真はどちらも55-250mm ISの1/15秒
Large+Normal(JPEG) / 55・250mm(88・400mm相当) / シャッター速度優先AE / ISOオート / WB:オート / PS:スタンダード

左は18-55mm IS、右は55-250mm IS でのテスト。シャッター速度で2段強から3段程度の効果が確認できた。グラフがいびつなのが気になるが、さらにテスト数を増やせば滑らかなカーブを描くはず

シャープネスに頼らない解像力

解像力をチャートを使って調べたところ、だいたい1,900TV本強といったところだった十分以上の解像力といえる。また撮影された画像はキヤノンらしく、非常にクリアなもの。シャープネスは強めだが、それでも以前のKissやEOS 40Dよりも目立たなくなっている。好ましい傾向だ。

解像力チャート。非常にクリアな画像になった
EF-S 18-55mm F3.5-5.6 IS / Large+Fine(JPEG) / 55mm(88mm相当) / プログラムAE、補正+1EV(F5.6、1/20秒) / ISO 100 / WB:オート / PS:スタンダード
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取扱説明書によると、記録画質を最高のラージ(L:Large)+ファインにして1コマあたり約4.3MBということだが、実写ではそれより大きくなることも多く、最大で約7.2MBにもなった

もっと高感度が欲しくなる低ノイズ

高感度時のノイズをチェックした。キヤノンの低ノイズ性能はKiss X2でもいかんなく発揮されている。ISO 800ではほんの少しコントラストが落ちる程度でほとんどノイズは見られない。ISO 1600でちょっと赤や青の色ノイズとざらつき感が発生する程度だ。シャープ感もほとんど失われない。Kiss X2の最高感度はISO 1600だが、これならISO 3200はもちろん、ISO 6400まで使えるようにしても問題ないのではないか?

また、Kiss X2には「高感度撮影時のノイズ低減」機能があり、通常ではオフになっている。これをオンにして撮影すると、ISO 1600時の色ノイズが減少するのが確認できた。しかし、もともとノイズがとても少ないので、よほどデリケートな撮影をする場合だけ使えばいいだろう。

ちなみにISOオート(自動設定)も可能で、感度はISO 100~800の間で変化する。しかし明るくてもほとんどISO 100には落ちず、ISO 200のままF22、F32まで絞ろうとする。何かISO 100にしたくない理由があるのだろうか? ISO 200でもノイズの面では全く問題ないのだが、回折が起きないか心配になった。

高感度撮影時のノイズをチェックした。以下、撮影設定は同じ
EF-S 18-55mm F3.5-5.6 IS / Large+Fine(JPEG) / 40mm(64mm相当) / プログラムAE / WB:オート / PS:スタンダード

カスタム機能に「高感度撮影時のノイズ低減」があるが、標準状態ではオフになっている。以下ではオンの状態でも撮影した

ISO 100

ISO 200

ISO 400

ISO 800

ISO 1600

ノイズ低減:オン ISO 400

ノイズ低減:オン ISO 800

ノイズ低減:オン ISO 1600

絞り:F5(開放)。ノイズテストの画像だが、開放では周辺光量が極端に落ちる

絞り:F6.3。少し絞ると周辺落ちは改善される