ポジティブな超広角25mmの世界
超広角レンズを搭載したコンパクトカメラとしては、24mm相当の3倍ズームを搭載したリコーの「GX100」や、生産終了してしまったコダックの2眼デジカメ「V705」(23mm相当+38~114mm相当の3倍ズーム)などがある。しかしこれらは、カメラ愛好家向けの特殊な匂いがしていた。FX35は25mm相当の超広角レンズを搭載しつつ、ターゲットは一般ユーザーだ。25mm相当のレンズを搭載するということは、多くのユーザーに広角28mmの世界を提供し続けたパナソニックらしい進化だと思う。
広角になるにつれて、気になることは「周辺の像の流れ」や「周辺光量落ち」だ。今回試撮した限りでは、周辺の流れはそれほど目立たず、隅々までよく解像していると思う。ただ周辺光量は、空や広い風景を写すと目立ってしまう。しかし超広角の世界の味だと割り切ってしうのもアリなのではないだろうか。光量落ちや歪曲収差などのレンズの画質云々とこだわるより、パース効果を楽しんで撮影するほうが健全な気がする。「大勢で記念写真を撮って思い出を共有をする」、「自宅で撮ったら、普段生活しているより広々見えた」、「広角のパース効果により、自分撮りでは、より顔が細く写すことができた」などポジティブに写してくれるしてくれるのが、超広角レンズの魅力なのだと思う。
【画角の比較】
25mm相当で撮影。狭い道も見た目以上に広く感じる |
30mm相当で撮影。広角域では1mmの違いでずいぶん写り方は変わる |
【広角25mmのレンズ性能をチェック】
暗部補正はオンが基本
新たに搭載された機能では、「暗部補正」が気になるところ。これは暗くて写らなかった背景や夜景を明るくして、見たままの印象に近づける機能だ。明暗差がある部分の暗い部分をピクセル単位で補正するので、ISO感度を上げるよりノイズを少なくすることができるという。実際に暗部補正をオンで撮影すると、暗い部分の明るさのみ持ち上がり、画面全部が見える写真を写すことができた。暗い場所での撮影はもちろん、逆光時の撮影でも有効だった。
顔認識機能は、顔にピントを合わせるだけでなく、露出も顔に合わせて調整される。しかし、背景が明るすぎる場合はやはり顔が暗くなってしまうので、「逆光補正」をオンにしないといけない。 「逆光補正」は、顔認識が働いていると安心してしまい、つい忘れてしまいがちになってしまうのだが、顔認識と「暗部補正」を組み合わせて常時設定しておけば、忘れやすい「逆光補正」を設定しなくても、黒潰れすることはまずない。暗い部分=顔の部分は補正が強くかかる状態なので、顔の画質低下も若干見られるが、顔を明るく写してくれる。また暗部補正は、夜の工場写真など細部のディテールを見せる撮影でも役にたつだろう。コントラストを生かした撮影をする場合はオフにすればいい。
【暗部補正の効果】