Macintoshというプラットフォームにおいてデータベースソフトは、Microsoft OfficeやiWorkに収録されていないことも手伝い、存在感が薄かったことは否めない。ビジネス向け、プロフェッショナル向けというイメージを持つMacユーザは少なくないだろう。FileMaker Proという知られたデータベースソフトがあるにしても、明確な利用目的を持って使い始めるユーザが大部分のはずだ。
そこへ登場したBentoという製品には、いくつかの"割り切り"が感じられる。1つは、約5千円という価格。ダウンロード販売オンリーならばともかく、パッケージでこの価格は挑戦的だ。データベースソフトを利用した経験を持たないユーザ層にも、一定の効果が期待できるだろう。
もう1つは、互換性の部分。FileMaker Proの弟分的な存在であるにもかかわらず、インポート / エクスポート機能を含め、互換性は持たない。外部アプリケーションとのデータのやり取りは、基本的にCSVファイルのみだ。
Leopardオンリーという部分も、割り切りと言っていいだろう。エンジン部分のCore Data API / SQLiteはTigerの頃から(Spotlightのバックエンドなどとして)利用されているが、BentoではTigerのサポートは見送られている。
それら割り切りのうえに開発されたBentoは、いい意味で"軽い"。動作が軽いうえに、SQLなどのデータベース然とした部分が目に入らないため、気軽に利用できる。操作性と外観もApple純正のアプリケーションに遜色なく、かつ機能的な割り切りゆえに整然としている。S-JISエンコードのCVSをインポートできないなどいくつかの点を除けば、その名に恥じない"美味しい"Bentoだと言えるだろう。