日本の色は「雅」で再現?

K10Dのカラーモード「画像仕上」には「ナチュラル」「鮮やか」の2種類が用意されているだけだったが、K20Dでは大幅に強化され、「鮮やか」「ナチュラル」「人物」「風景」「雅(MIYABI)」「モノトーン」の6種類が用意された。カラーモードの名称も「カスタムイメージ」と今風に変更。標準設定は「ナチュラル」だが、言語で日本語以外を選ぶと「鮮やか」が標準になる。ちなみにK200Dは日本語でも「鮮やか」が標準だ。

ユニークなのは「雅」の存在だろう。だいたい予想はつくが、使用説明書には何も書かれていない。K20DのWebサイトに、"原色も藍や朱といった印象的な色合いで再現。着物など、和のテイストを美しく、個性的な表現で楽しめます"とあるが、使用説明書でも説明したほうがよいだろう。

各モードは、それほど激しくは変化しないタイプだ。「鮮やか」や「風景」ではコントラストや彩度が高くなるが、十分納得できるレベル。ただ、まれに「鮮やか」では日陰の人工物の彩度が極端に上がることもあったので、やはり「ナチュラル」を基準に使ったほうがいいだろう。

操作に関してだが、カスタムイメージやホワイトバランスの設定を行なう際、撮影直後であれば、背景に直前に撮影した画像を表示し、設定に合わせて色が変化することで違いがわかるようになっている。ただし、処理に時間がかかるためか、切り換えるたびにもっさりした動きになるのが気になる。ホワイトバランスならともかく、カスタムイメージでは色などの変化が微妙なため、液晶モニター(しかも背景表示)では判断できないことも多い。背景のオン/オフを切り替えられるといいと感じた。

カスタムイメージは6種類。それぞれ「彩度」「色相」「コントラスト」「シャープネス」が設定できる。モノトーンは色の代わりに「フィルタ効果」「調色」となる

以下は同一の設定でカスタムイメージを変更して撮影
DA 16-45mm F4 ED AL / 14.6M+S.ファイン(JPEG) / 45mm(68mm相当) / マニュアル(F5.6、1/125秒) / ISO 100 / WB:オート

カスタムイメージ:鮮やか

カスタムイメージ:ナチュラル (標準)

カスタムイメージ:人物

カスタムイメージ:風景

カスタムイメージ:雅 (MIYABI)

カスタムイメージ:モノトーン

彩度の高い被写体を撮影し、○の部分のヒストグラムをまとめたものが右
DA 18-55mm F3.5-5.6 AL II / 14.6M+プレミアム(JPEG) / 42.5mm(64mm相当) / マニュアル(F8、1/60秒) / ISO 100 / WB:マニュアル

これを見るかぎり、カスタムイメージによる変化は少ない。主色(赤)に対する補色の取り方が微妙に異なる程度だが、「鮮やか」は他に比べて緑が特に抑えられているのが興味深い

いつもは白くなる空に青が戻ってくる

K20D、K200Dには、ダイナミックレンジを拡大する機能が設けられた。これは「ISO感度」のメニューで設定するが、ISO 200以上の場合のみ設定できる。最近はソニーの「Dレンジオプティマイザー」やニコンの「Dライティング」のように主に暗部を持ち上げる機能が増えているが、ペンタックスのこの機能は白飛びを抑えるという逆の方向で効くのが新しい。カタログには、"ハイライトのピークを約1EV分補正して白とびを抑制、同時に高輝度部分の階調をより豊かに表現する"と書かれている。

試したところ、確かに効果があった。白飛びするようなシーンでも明るい側が張りつかなくなるし、露出を上げて空が白く飛んでしまうようなシーンでも、空の青色が乗るようになる。気になるのは白飛びを抑えようとするあまり、全体のヌケが悪くならないかだが、今回試したレベルでは特に悪い影響は感じられなかった。

「ISO感度」のメニューで[Fn]ボタンを押すと、「D-Range 200%」がオンになり、ダイナミックレンジが拡大される。ただし指定できる感度はISO 200以上になる

下の噴水の写真のヒストグラムを比べた。ダイナミックレンジを拡大した右の写真のほうが、白飛びが減っている(右側の貼り付きが減っている)ことがわかる

標準状態で暗い背景の噴水を撮影
DA 16-45mm F4 ED AL / 14.6M+S.ファイン(JPEG) / 36mm(54mm相当) / プログラムAE(F8、1/350秒) / ISO 200 / WB:オート / CI:ナチュラル

「D-Range 200%」をオンにして撮影
DA 16-45mm F4 ED AL / 14.6M+S.ファイン(JPEG) / 36mm(54mm相当) / プログラムAE(F8、1/350秒) / ISO 200 / WB:オート / CI:ナチュラル

標準状態で撮影。プラス補正のため空が白っぽくなっている
DA 16-45mm F4 ED AL / 14.6M+S.ファイン(JPEG) / 31mm(47mm相当) / 絞り優先AE、補正+1EV(F4.5、1/250秒) / ISO 200 / WB:オート / CI:ナチュラル

「D-Range 200%」をオンにして撮影。空の青が戻ってきた
DA 16-45mm F4 ED AL / 14.6M+S.ファイン(JPEG) / 31mm(47mm相当) / 絞り優先AE、補正+1EV(F4.5、1/250秒) / ISO 200 / WB:オート / CI:ナチュラル

使いやすく、素直な絵づくり

絵づくり全体については、際だった特長は感じられないが、クセのない絵づくりという印象を受けた。見栄えを良くしようと妙に青を乗せるカメラもあるが、K20Dは自然な画像になる。ホワイトバランスも軽々しくは動かず、日陰なら青く、電球なら赤くと、元の光の色を活かす設定のようだ。シャープネスも強くない。下に明るさを変えて明度を測定した「ダイナミックレンジ」と記したグラフを挙げたが、中間域で比較的スマートな線を描いている。これは露出を変えても明度のバランスが変わらないわけで、使いやすい特性であることが伺える。

気になるのは、シーンによってはアンダーになる傾向があること。フレームに広く明るい空を入れるようなシーンでは、白飛びを警戒して全体に暗くするというのは一般的だが、K20Dの場合は中間から暗部にかけて暗くなる、つまりちょっと重い感じの画像になる傾向があるようだ(黒つぶれするわけではない)。このあたりをアタマに入れて露出を補正するといいだろう。

ついでに、従来ペンタックスのデジタル一眼レフの画質設定(JPEGの圧縮率)は、「★★★(S.ファイン)」が最高だったが、K20Dでは「★★★★(プレミアム)」が追加された。画質が良くなるのはいいことだが、1460万画素もある解像度と相まって、画像ファイルは軽く10MBを超える。ファイルのコピーだけでもかなり時間がかかる。ざっと見比べたが、「★★★」と「★★★★」で違いはほとんどわからなかった。通常は標準状態の「★★★」でかまわないだろう。また、RAWデータについては、ペンタックスのオリジナルフォーマット「PEF」のほか、アドビシステム社が提唱する公開フォーマット「DNG」も使用できる。

また、K20Dには画像ビュアーソフト「PENTAX PHOTO Browser」とRAW画像処理ソフトの「PENTAX PHOTO Laboratory 3」が付属するが、これが実によくできている。「Browser」は画像の一覧表示から撮影情報をチェックしたり、選んだりするわけだが、例えばカーソルキーで隣りの画像に移動すると、前の画像とどこが変わったか赤い文字で示される。画像表示に少々時間がかかるのが難点だが、写真選びにはとても便利なソフトだ。

マクベスのチャートを明るさを変えながら撮影した
DA 18-55mm F3.5-5.6 AL II / 14.6M+プレミアム(JPEG) / 55mm(83mm相当) / マニュアル(F5.6) / ISO 100 / WB:マニュアル / CI:鮮やか

比較的スマートなグラフとなった。気になるのはマゼンタとシアンのラインがはっきりと交差していること。日陰の人工物でまれに彩度が極端に高くなったのは、このためかもしれない

ホワイトバランスの微調整メニュー。オートホワイトバランスでも有効なので、常に好みの色合いで撮影できる

ホワイトバランスを変えて色の変化を見た
DA 16-45mm F4 ED AL / 14.6M+S.ファイン(JPEG) / 24mm(36mm相当) / 絞り優先AE(F5.6、1/60秒) / ISO 200 / WB:オート / CI:ナチュラル

カスタムイメージの「モノトーン」を選ぶと、背景もこのようにモノクロになる。フィルター効果でバランスを変えたり、セピアなどの色を乗せることもできる

「モノトーン」で撮影。特にコントラストもいじっていないが、軟らかい、ちょっとおもしろい絵になった
DA 16-45mm F4 ED AL / 14.6M+S.ファイン(JPEG) / 16mm(24mm相当) / シャッター速度優先AE(F16、1/125秒) / ISO 200 / WB:オート / CI:モノトーン
実画像はこちら

付属のビュアーソフト 「PENTAX PHOTO Browser」

こちらはRAW画像処理ソフトの「PENTAX PHOTO Laboratory 3」