快適な光学ファインダー
光学ファインダーの視野角を図ったところ、約24.2度(対角)もあった。これは非常に広いといえる。D300の約25.4度やE-3の約25.1度には及ばないものの、K200Dの約22度、α200の約22.2度よりもひとまわり以上広い。多少周辺で像が暗くなることはあるが、ペンタプリズムを使っていることもあって、全体に非常にクリアで見やすい。
オートフォーカスは、中央の測距点のみを使用するいつものテストでは、EV5で平均約1.3秒、EV1で約2.7秒という成績だった。明るいEV5の結果は平均的なところだが、暗めなEV1では2.7秒と、いまどきのカメラとしてはちょっと遅いという結果になった。
しかしコンティニュアス(AF-C)でのブランコ撮影は、なかなかいい感触だった。ブランコは動きが一定でないため、実はカメラが苦手としている被写体なのだが、K20Dはいい感じで追いかけてくれる。定置テストはいまひとつでも、実戦では強いという印象を受けた。オートフォーカスの動作音は大きめだ。また、合焦を示すインポーズが小さく、ちょっと見づらい。もう少し大きいとわかりやすいと思う。
手ブレ補正も簡単に試してみたが、シャッター速度でだいたい1~2段の効果が確認できた。カタログ値では2.5~4段分の効果ということなので、もうひとふんばりしてほしい。撮影した画像を一見するとブレが止まっているように見えるのだが、よく見ると輪郭がにじんだようにぶれている画像が多かった。いいところまでいくが、最後のツメが甘いようだ。また、今回はセットレンズのDA 18-55mmでテストしたが、さらに長いレンズであれば違う結果になったかもしれない。
連続撮影でフォーカス性能を試した。以下はコンティニュアス(AF-C)で撮影 |
通常の連続撮影と別に「高速連写」が可能。ピント位置や露出などの設定を固定することで、秒21コマというとんでもない速さを実現している |
驚きの解像力
解像力はすごい。2000TV本を超えつ。いままでテストしたAPS-Cクラスのカメラでは、最も高い解像力だろう。また、限界近くでも非常に素直で、妙な偽色も発生していない。シャープネスも過度には強くなく、フラットに、自然に再現する。
その代わりというわけではないが、高感度時のノイズはけっこう目立つ。ISO 400まではノイズらしきものはなく、ISO 800で少しざらつきはじめ、ISO 1600では赤や青の色ノイズが目立ち、ISO 3200では砂のフィルターをかけたようにざらついた画像となる。常用はISO 800まで、画質を重視するならISO 400までではないだろうか。ちなみに撮像感度の初期設定は「オート」で、ISO 100~400が指定されている。一般に、感度を上げていくとノイズ増加だけでなく、コントラストも低下するのだが、K20Dではコントラストの低下が見られなかった。むしろざらつきの増加に伴って、エッジが強調されて見えるほどだ。
また高感度撮影時にノイズを減らす「高感度NR」機能もあるが、標準ではオフになっている。これを強くかければノイズは減るが、像が緩くなる傾向にある。なので、ISO 1600までなら「微弱」か、せいぜい「弱」に抑えたい。ISO 3200以上なら「強」を使う意味がある。ちなみにこの「高感度NR」の設定は3段階だが、弱/中/強ではなく、微弱/弱/強となっている。なんだか開発者のこだわりが見えて楽しいではないか。
わからないこともあって、ノイズ撮影のISO 200~800の画像は、紗をかけたようなにじみが出てしまった。手ブレ補正をオンのまま撮影したためだろうか? ほかの三脚を使った撮影では、手ブレ補正を入れたままでも特に影響はなかったのだが。もうひとつ、「感度拡張」をオンにするとISO 6400まで増感できるが、撮影時に気づかず、ISO 3200までしか撮影していない。
従来は★★★(S.ファイン)が最高だったが、K20Dでは★★★(プレミアム)が用意された |
解像力チャート。2000TV本を超えている |
高感度時のノイズリダクション機能をもつが、標準ではオフになっている「微弱」「弱」というあたりにこだわりが見え隠れする |
以下、同一設定で撮像感度を変えて撮影した |
高解像度のカメラにはいいレンズを
K20Dのセット販売で用意されるレンズは「DA 18-55mm F3.5-5.6 AL II」。これはK20D/K200Dの登場に合わせて新しく発売されたもの。また、セット販売こそされないが、ペンタックスには定番ともいえる「DA 16-45mm F4ED AL」がある。両者を撮り比べてみた。
遠方のシャープ感、クリア感は、やはりDA 16-45mmのほうがひとまわり上だ。わずかだが、解像感も高い。また、DA 18-55mmは全体に青みが乗る傾向があるが、DA 16-45mmにそれは感じられず、自然な色に感じた。
かといって、DA 18-55mmも悪くない。スナップなどの比較的近い被写体であればほとんど違いはわからないし、周辺の色にじみはむしろDA 18-55mmのほうが少ないように感じた。最初、1460万画素もあるカメラに、こんなに安いレンズで大丈夫だろうか(失礼)と思ったが、画素数に力負けしていない。
月並みだが、気軽なスナップ中心で撮影することが多いなら小型軽量なDA 18-55mmを、広い風景などをじっくり撮る機会が多いなら描写の優れたDA 16-45mmを勧めておく。
DA 18-55mm 絞りF4 画角18mm |
DA 16-45mm 絞りF4 画角18mm |
DA 18-55mm 絞りF16 画角18mm |
DA 16-45mm 絞りF16 画角18mm |