ペンタックスからデジタル一眼レフカメラ「K20D」が発売された。同社のラインナップでは上位モデルにあたり、有効1460万画素の撮像素子は、APS-Cサイズとしてはもっとも高解像度となる。K20Dの市場価格は本体のみで約14万5,000円、「DA18-55mm F3.5-5.6 AL II」をセットにした「K20D レンズキット」が約16万円で販売されている(どちらもマイコミジャーナル価格情報の平均価格。2008年3月7日現在)。

クラストップの有効1460万画素

「K20D」はペンタックスの上位モデル「K10D」の後継機にあたる。デジタル一眼レフの黎明期から、ペンタックスは小型軽量な「*istD(イストD)」シリーズを展開しており、現在の「K200D」がその直系にあたる。K10DはそれまでistDシリーズで培ったノウハウを元に、さらに上位ユーザーを目指したモデルだった。そしてK10Dの初めてのモデルチェンジで登場したのが今回の「K20D」である。

特長はいくつもあるが、まず、クラス最高となった画素数が挙げられる。APS-Cクラスの撮像素子を使うモデルとしては、もっとも高解像度の1460万画素となった。ソニーの「α350」の1420万画素と画素数はほぼ同じだが、α350がCCDを使うのに対し、K20Dは撮像素子にCMOSを使用している。また、K200Dにも搭載されたのでこの撮像素子専用というわけではないが、K20Dでは撮像感度ISO 200以上でダイナミックレンジを広げる機能が搭載された。

Kシリーズ全モデルの特長のひとつがボディ内手ブレ補正機構。他社の同機構がX軸とY軸方向にレールを持ち、それぞれ独立して動かしているのに対し、Kシリーズはレールを持たず、フローティングしているような構造をもち、撮像素子基板を直接4つの平面コイルで駆動する。

また、この手ブレ補正機構を活かし、ゴミなどをふるい落とすクリーニング振動を行なう。合わせてゴミの付着しづらいコーティングが施される。また、ゴミなどが確認できる「ダストアラート機構」を世界で初めて(ペンタックス調べ)搭載した。これは撮像素子のどの部分にゴミが付着したかをわかりやすく液晶モニターに表示する機能で、手動でクリーニングする際の参考になる。

K20Dに使われている有効1460万画素、23.4×15.6mmサイズのCMOS

画像処理エンジンPRIME(プライム)

バルブ状態で撮像素子を見る

画像サイズは最大で4672×3104ピクセル

ペンタックス初のライブビュー

K20Dはペンタックスの一眼レフカメラとして始めて、ライブビュー機能を搭載した。α350のような凝った機構は搭載せず、ミラーを上げて像を映し(ライブビュー)、一度ミラーを下げてピント合わせ、再度ミラーを上げて撮影するというスタイルを取る。

オートフォーカスは、11点のAFポイントを装備。中央よりの9点はクロスセンサーを採用している。また、通常の連続撮影は秒3コマだが、さらに秒21コマという桁外れに高速な「高速連写」モードを装備した。これはミラーを上げっぱなしにして(ピント位置や露出は最初のコマのまま固定)、なおかつ出力画素数を制限(1536×1024ピクセル)することで高速化するモード。最初、通常の連続撮影と間違えて使ってしまったのだが、無音で撮り続けるため、気がついたらとんでもない枚数が撮れていて驚いた。使い方を選ぶだろうが、この速さはちょっとすごい。

また、固定したピント位置に被写体が現れると自動的にシャッターが切れる「キャッチインフォーカス」機能を搭載した。動きまわる動物などの撮影に便利そうだ。ただしAF/MFの切換が可能なレンズが必要とのことで、今回は試すことができなかった。

プログラムAEの状態から、ダイヤルを動かすとすぐさま絞り優先AE、シャッター速度優先AEに切り替わる「ハイパープログラム」、マニュアル撮影時に本体上面のグリーンボタンを押すだけで露出値が自動設定される「ハイパーマニュアル」など、ペンタックス伝統のハイパー操作系はK20Dにも受け継がれている。また、K10Dで始めて採用された感度を露出のひとつの要素として考える「感度優先」「シャッター速度&絞り優先」も引き続き採用されている。デジタルでないとできないユニークな考え方だ。

現在のペンタックスマウント(KAF2)はマウント面にずらりと電子接点が並ぶ

液晶モニターは約23万画素2.7型。ボタン類の配置はK10Dとほとんど変わっていない

上面。シャッターボタン脇のグリーンボタンがペンタックス流

左右側面。上部のモードダイヤルのギザギザがちょっとクラシカルでいい感じ

画像保存メディアにはSDメモリーカードを使用する

端子類のフタにもちゃんとシーリングが施されている

強靭なボディとどのレンズを組み合わせるか?

プロユーザーを想定すると、なくてはならないのがどんな状況でも応えてくれる頑丈なボディだ。K20Dにはダイヤルやボタン類、外装の継ぎ目などにシーリングを施した防塵防滴ボディとしている。マグネシウムこそ奢られていないが、シャシーには高強度ステンレスを採用。本体のみで715gと決して軽いカメラではないが、それに見合うだけの高い剛性を確保している。

オプションで縦位置撮影に便利なバッテリーグリップが用意されるが、一般的な本体バッテリー位置に端子を突っ込む方式ではなく、本体底面に端子を備え、ここで接続する。つまり、蓋やバッテリーの脱着が不要で、簡単にバッテリーグリップが接続できる。縦位置撮影するときだけグリップを取り付けるという使い方が気軽にできるわけで、他メーカーがなぜこの方式を取らないか不思議だ。バッテリーグリップには本体と同じバッテリーが1個収納でき、本体バッテリーとどちらを優先的に使用できるかも設定できる。

レンズだが、セット販売で組み合わせられるレンズは新しい「DA 18-55mm F3.5-5.6 AL II」。しかしK20Dのポテンシャルを活かすには「DA 16-45mm F4 ED AL」のほうが適しているらしい。本体とレンズキットの価格差、つまりDA 18-55mmは約1万5,000円で手に入るが、DA 16-45mmは実売で5万円以上する。これは悩むところだ。両者を比較撮影できたので、後半で紹介したい。

K20Dの高強度ステンレスシャシー

水やホコリの進入を防ぐシーリング

新しい標準ズームレンズ「DA 18-55mm F3.5-5.6 AL II」

広角ズームの定番「DA 16-45mm F4 ED AL」

オプションのK20D用バッテリーグリップ「D-BG2」。価格は2万3,000円

DA 18-55mmをK20Dに装着したところ。レンズはこちらのほうがひとまわり大きい