Bentoは、データベースソフトらしからぬ外観を備えているが、データベースソフトとしての"筋"は通っている。続いては、データベースソフトとして見たBentoの特徴を見てみよう。

レコードとフィールド

起動後最初に現れるシート

Bentoは、使い手に明確な利用目的、あるいは日々利用するイメージを要求する。情報を一元管理しよう、情報間にリレーションを持たせよう、ひいては業務を効率化しよう、などといった目的がないかぎり、ただアドレスブック / iCalと連携できます、LeopardらしいUIを備えています、で終わりかねない。紙のシステム手帳を置き換えることが主眼のPIMツールとは、その点で大きく異なるのだ。

Bentoを理解するうえで重要な概念が、「レコード」と「フィールド」だ。レコードがデータの集合(データベース)を貫く縦糸だとすれば、フィールドは横糸。レコードを病院のカルテにたとえるならば、フィールドは患者の氏名や病名、病歴といったところ。日めくりカレンダーがレコードならば、その1枚1枚に書き込まれたスケジュールがフィールド、という理解でいいだろう。

ライブラリ作成用のテンプレートが複数用意されている

フィールドの追加

基本的にフィールドとデータは一対の関係にあるため、新しい型のデータをレコードに加えるときには、フィールドを追加することになる。後述するiCalとアドレスブックの場合、(Leopardのインストール時点で)あらかじめ定められたフォーマットに従い作業することが基本だが、たとえば写真用のフィールドを追加すると写真を記録できるようになる。

用意されているフィールドの種類も豊富だ(表1)。テキストや数値はもちろん、写真や動画などのメディア、チェックボックスやドロップダウンメニュー、iTunesのように「★」で表現するレートなど、通常必要とされるデータ種はほぼ網羅されている。

ドロップダウンメニューも作成できる

画面右下の[+]ボタンをクリックすると、フィールド作成シートが現れる

表1: 追加できるフィールドの種類

フィールドのタイプ 対応するデータの種別
テキスト 文字列
数字 数字データ(厳密に昇順 / 降順で並べ替え可能)
選択 ドロップダウンメニュー
チェックボックス チェックボックス
メディア 写真や動画、音楽
ファイルリスト ファイル(エイリアスを格納)
関連レコードリスト iCal / アドレスブックまたは他のライブラリのレコード
時刻 時刻(時:分:秒)
日付 日付(年:月:日)
継続時間 経過した日数 / 時間
計算 指定した計算の結果を表示
通貨 円やドルなどの通貨
自動カウンタ 新規レコードに通し番号を設定する
レート 最大値1~10の範囲でレートを設定
アドレス 住所(勤務先や自宅などのレベルを設定可)
電話番号 電話番号(勤務先や自宅などのレベルを設定可)
メールアドレス メールアドレス(勤務先や自宅などのレベルを設定可)
URL WebサイトなどのURL(勤務先や自宅などのレベルを設定可)
IMアカウント iChatなどのIMツールで使用するアカウント

フォームの作成とデザイン

Bentoには、「フォーム」を作成するためのテンプレートが用意されている。白紙を含めたテンプレートの数は24、「在庫目録」や「販売する製品」といったスモールビジネスに使えそうなものから、「エクササイズの記録」や「イベント計画」などプライベートなものまで、種類は豊富だ。

フォームを自分好みにデザインすることも可能。HTMLエディタかプレゼンテーションソフトかといった感覚で作業できるが、配置できるのはあくまで「フィールド」。再利用できない(データを差し込めない)表計算ソフトのテキストボックスとの違いは、しっかり理解しておきたい。

フォームを自分好みにデザインすることも可能