卓越した音楽センスによる上質なサウンドをコンスタントに世に送り出してきた角松敏生。その彼が「ある意味、リベンジをしたい」と、今回臨んだライブツアー「TDK Presents TOSHIKI KADOMATSU Performance 2007-2008"Player's Prayer"RETURNS」は、演奏・パフォーマンスともに前回の"Player's Prayer" TOURを超える内容となり、戻ってきた。今回はライブレポートとともに、角松敏生のサウンドエンジニアを務める山寺紀康氏にインタビューを敢行。角松敏生のライブサウンドの原点に迫った。
「TDK Presents TOSHIKI KADOMATSU Performance 2007-2008"Player's Prayer"RETURNS」
大勢のファンが詰め掛けた中野サンプラザでのライブ。取材当日のミュージシャンは、江口信夫 (Dr)・松原秀樹 (B)・今 剛 (G)・小林信吾 (key)・友成好宏 (key)・森 俊之 (key)・田中倫明 (Per)・大儀見 元 (Per)、沖縄から参加のチアキ (Vo&Cho)に凡子 (Vo&Cho)。トップクラスのプレーヤーと同時に著名なプロデューサーでもある才人達が参加した、強力な布陣である。この中からフルメンバーによるPlayer's Prayer、キーボード3人によるTripod、小バンド編成の曰くT's GangにT's Land、角松と友成のT&Tといったユニットの組み合わせで、多種多様なサウンドを聴かせるという趣向だ。
BGMの「UGAM」が流れる中、フルメンバーがステージに登場。ショーはリズミックな「Movin'」で幕を開けた。アルバム『Prayer』からのナンバーが快調に続き、前半は「Smile」で一段落。特にブーミーになりがちな低音が締まり、個々の楽器が明瞭に聴き取れ、しかもヴォーカルのバックアップに徹しつつソロではしっかりと前面にフィーチャーされる理想的な音響バランスだった。
続いて各ユニットによるパフォーマンスに入り、「IZUMO 」で絶妙なアンサンブルを披露した後は、T's Gangで「If you...」をしっとりと、T's Landで「八月踊りの島」をトロピカルに聴かせる。T&Tでの「サンタが泣いた日」では、演奏終了後のメンバー紹介の際、角松氏がこの曲の作者であり2007年4月に亡くなった浅野祥之氏の名前をコールするひときわ感動的な瞬間があった。音響的にも、これらのセットは曲ごとに異なった編成ながら、音色や声が非常にナチュラルで透明感のあるものだったと思う。
再びフルメンバーに戻っての後半は、「痴漢電車」などお馴染みのナンバーが続いたが、「My Sugar」では角松流ブートキャンプとオッパッピーのご唱和で大いに盛り上がる。アンコールの「SKY HIGH」では恒例の紙飛行機が会場中を舞い、そしてもう終りかと思われた頃、モアアンコールとして歌われたのが「黙想」。全く飽きさせることのない、3時間強のライブだった。
角松敏生のライブサウンドはどのようにして作られるのか。そこで、角松敏生氏のサウンドエンジニアを務める山寺紀康氏にインタビューを敢行した。