クリエイティブスタイルの差は大きくない
カラーモードである「クリエイティブスタイル」には、8種類が登録されている。標準的な「スタンダード」、鮮やかになる「ビビッド」、人物撮影向きの「ポートレート」、遠くの風景もクリアに撮影する「風景」、見た目に近い夜のシーンを再現する「夜景」、全体に赤くなる「夕景」、そしてモノクロ写真になる「B/W」と、色空間が変わる「Adobe」だ。
クリエイティブスタイルのカラー6種を比較してみると、明らかに色が異なる「夕景」を除き、色の傾向については大きな違いはない。部分ヒストグラムを見ても、その差が少ないことがわかる。むしろ目につく違いはコントラストだろう。「スタンダード」に比べて「ビビッド」と「風景」はコントラストが高く、「夜景」はコントラストが低くなる。「ポートレート」はほぼ同じくらいだ。
使い分けだが、マニュアルに書かれた目的どおりに切り換えるのが無難だろう。風景なら「風景」、夜景なら「夜景」といった具合。というものの、絵の傾向はあまり変わらないので、「スタンダード」のままでもほとんどは大丈夫のはずだ。ただ、「夕景」だけは他とまったく違うので、使用シーンを選んで使いたい。
カラーモードを変更する「クリエイティブスタイル」は、コントラスト、彩度、シャープネスを個別に設定できる |
クリエイティブスタイル:スタンダードで撮影。以下、設定は同じ |
クリエイティブスタイル:スタンダードで撮影。以下、設定は同じ |
クリエイティブスタイル:ビビッド |
モノクロ写真になる「B/W」では彩度の調整はできないが、コントラストやシャープネスは変更可能。セピアなどのカラー機能は用意されていない |
「B/W」での撮影例 |
明るさをコントロールするDレンジオプティマイザー
α700で壮絶な影響力を見せた「Dレンジオプティマイザー」だが、α350での同機能はそれほどでもない。ユーザーが指定できる「アドバンス レベル設定」が省かれているというだけでなく、強く効果があるはずの「アドバンス」(オート)に合わせても、少し暗部が明るくなる程度で、劇的な変化は現れなかった。少々寂しい。
部分補正を行なう「アドバンス」は撮影後に処理時間が掛かるので、続けざまに撮るような場合には向かない。やはり通常は標準設定の「スタンダード」にしておき、逆光がきついとか、暗部をできるだけ持ち上げたいという場合のみ「アドバンス」を選択するのがいいだろう。
ホワイトバランスはオートのままでこれといっておかしなところは見られなかった。ただ、オートには微調整機構がないのが残念。他のモードでは赤←→青の調整が可能だ。オートでもできるなら、常に好みの傾向になるよう設定できるのだが。
ホワイトバランスの比較 |
リアリティの高い絵を狙う
さて、全体の絵づくりについてだが、一言でいうと、α100の絵づくりに戻ったように感じた。日陰で彩度が立ち上がってしまうことや、暗部がドロッとする感じなど、いつか見た絵のように思う。また、ピントが合っているのに緩く、1枚薄皮をかぶせたような画像になってしまうこともあった。これは先に述べたレンズのせいなのか、「アドバンス」(Dレンジオプティマイザー)のためなのか、判断はできなかった。
明るさを変えて明度を測定した「ダイナミックレンジ」のテストでも、α350はα100のカーブと非常に近いものになった(α100は過去にテストしたもの)。EV±0、EV+1あたりでシアンとマゼンタの関係が違っているが、全体的にはよく似ているとしていいだろう。少なくとも、α700の同グラフとはぜんぜん違う。
α100に似ているからというわけではないが、非常に色乗りのいい独特の画像になる。リアリティの高さも健在だ。少々手ごわいかもしれないが、うまく手なずければ他では得られない写真が撮影できるはずだ。
明るさを変えてマクベスチャートを撮影し、明度の変化をグラフにしたのが以下のグラフ。設定はすべて同じ。α100は以前撮影したもの |
α350 Dレンジオプティマイザー:オフ |