スイッチひとつでライブビューに移行
さて、ライブビューである。これはものすごく使いやすい。ライブビューの表示に撮像素子ではなく、専用のイメージセンサーを使用する。そのためファインダー使用時と変わらない感覚で撮影できる。マニュアルにもライブビュー専用の説明はほとんどないくらいだ。
ライブビューへの切り換えは簡単。上面の専用スイッチを[LIVE VIEW]に合わせるだけでいい。すぐにモニターに映像が表示され、そのまま撮影できる。オートフォーカスも通常と同じユニット(位相差式)を使い、半押しでピント合わせを行なう。もちろん撮影に伴ってミラーは上下するが、ファインダー使用時と同じなので違和感はない。
上のシーンで撮影した写真。日だまりの感じがよく出た |
同様に撮影したハト。しかし動きまわる被写体をライブビューで捉えるのはけっこう大変 |
拡大表示できないのはツライ
ただ、いままでイメージしていたライブビューと違うところもある。なんといってもツライのは、ライブビュー中の拡大表示ができないこと。これは専用イメージセンサーの画素数が少ないためではないかと思われる(画素数は未公表とのこと)。例えばマクロ撮影などでは拡大してきっちりピントを合わせたいが、それができないことになる。また、撮像素子を使うライブビューの視野率はほとんど100%だが、α350では90%しかない。これは光学ファインダーの95%よりもずいぶん狭い。もう少し広くしてほしいところだ。
不可解なのは、ライブビューだけで機能する「スマートテレコンバーター」の存在だ。この専用ボタンが背面の右上、一眼レフの一等地に置かれている。最初はこれがズームボタンかと思ったが、トリミング機能だった。モニターでは1.4倍、2倍となり、見かけ上は大きく写されるが、実際にはそれぞれ3264×2176ピクセル、2416×1600ピクセルにトリミングされた画像が保存される機能だ。ライブビュー中に表示される像はゆるく、ピントの確認にも適さないため、これを拡大表示の代わりとするのは厳しい。
また、フォーカスエリアを「ローカル」にした場合、ライブビューではAFポイントが表示されないのは不便だ。ピントが合えば緑枠が現れるが、移動中はどこにあるのかわからない。「スマートテレコンバーター」中は合焦の緑枠も表示されないから、それよりはいいのだが。
現在、もっともライブビューに適した可動モニター
いくつか文句を書いたが、ライブビューそのものはとてもよいと思う。ひとつにファインダー撮影とほとんど同じ感覚で撮影できること。いまだ、1カット撮影した後にライブビューに戻らないなどというカメラがあるなか、とてもこなれた感じがする。
もうひとつ大きいのは、α350の真骨頂ともいえる可動式モニターだ。上下チルトはとてもいい。モニターの上下どちらかの縁を引っ張るだけで簡単に角度がつけられる。ローアングルやハイアングルのライブビュー撮影だけでなく、再生やメニュー操作でもとても使いやすかった。液晶そのものの見やすさは普通だが、角度が付くことで見やすさは格段にアップする。
横に引き出すタイプのフリーアングル液晶に比べて操作が楽というだけでなく、左右のレンズ方向と視線方向が変わらないというメリットも無視できない。強いてあげるなら、縦位置で撮影する際にアングルが付けられないことが弱点だが、それに目をつぶっても、α350の方式のほうがトータルでメリットは多いと思う。
ただ、がんばっているのはわかるが、収納時にモニターが飛び出しているのはマイナス。ファインダーを覗いた際に鼻のアタマがモニターにくっついてしまう。脂がついてモニターが見づらくなる。拭き取るためのレンズクロスは必須だろう。また、実際に画像を開いてみるとそうでもないのだが、モニターでは少々青が強く見えるようだ。それをアタマに入れて色を確認するといいだろう。