ファインダーは狭いがクリアで見やすい
光学ファインダーはなんだか狭く感じる。視野角を実測したところ約20.1度(対角)と、α200(約22.3度:同)よりもひとまわり狭かった。スペックを比較すると、α200のファインダー倍率が0.83倍なのに対し、α350は0.74倍となっている。どうやらライブビューの専用イメージセンサーをペンタ部に組み込んだため、倍率が割を食ったようだ。それでもファインダー像はクリアで見やすく、狭さを補っている。
オートフォーカスは速くもなく、遅くもなく、といったところ。中央のAFポイントのみを使用するいつものテストでは、EV5の明るさで平均1.1秒、EV1で平均1.7秒という結果だった。実際の使用感では、中央のAFポイントを使うとそこそこスムーズにいくが、周辺のAFポイントでは迷うこともままあった。できるだけ中央のポイントを使ったほうが、ストレスは少なく済むはずだ。
オートフォーカス時にはジージーと音がする(DT 18-70mm F3.5-5.6)。ボディ側から駆動しているので仕方がないが、やはりモーターを内蔵したレンズが欲しくなる。また、ファインダー下にセンサーを持ち、覗くだけでオートフォーカスが動く「アイスタート」機能を装備する。覗いたときにすでにピントが合っているのは気持ちいいが、やはりぶら下げているだけでジージーと動くのは気になってしまう。α700はグリップセンサーが付いているのであまり気にならないのだが……。
コンティニュアス(AF-C)+連写でブランコを追いかけてみた。被写体が細いこともあるが、なかなか追従は苦しそう |
こなれてきた手ブレ補正機能
手ブレ補正の効果も試してみた。下のグラフがそれだが、だいたい2~3段の効果が確認できた(スペックでは2.5~3.5段)。十分な手ブレ補正効果といえる。ちなみに手ブレ補正は撮影者によっても大きく変わるので、グラフはあくまで参考として見てほしい。
またファインダー使用時にはファインダー内に、ライブビュー時には画面隅に、「手ブレインジケーター」が表示される。携帯電話のアンテナ表示のようだが、これが小さくなると手ブレも収まっているという証し。見ているとこれがなかなか楽しいし、どう構えると手ブレが収まるかという勉強にもなる。ただ、インジケーターに夢中になって被写体を見落とさないように。
解像度は、さすが1420万画素。DT 18-70mm F3.5-5.6との組み合わせだが、1900TV本を超えた。手持ちの解像力チャートのほぼ限界なので、別の測定ではもっと上かもしれない。像は中央あたりではクリアで輪郭強調に頼らずシャープ感があるが、周辺部は明るさの落ち込みはそうでもないが、像の流れなどが現れる。
解像力チャート使ったテスト。1,900TV本以上を解像している |
1420万画素もあるため、データサイズはかなり大きい。JPEGでも最大サイズ・最高クオリティで撮影すると、精緻なシーンでは1画像7MBを超える。大容量のメディアを用意したい |
ISO 800までなら問題なく常用できる
高解像度モデルで発生しやすくなるノイズはどうだろうか? α350の場合、ほとんどノイズが発見できないのがISO 400まで。ISO 800ではほんのわずかざらつきと色ノイズが確認できるが、まず困らないレベルだ。ISO 1600はざらつきよりもコントラストの低下が気になる。微妙なエッジは溶けてしまう。ISO 3200では赤や青の色ノイズがけっこう強く現れる。画質を重視するなら、ISO 800までを常用域とするのがいいだろう。
また、α350には「高感度ノイズリダクション」の機能があり、標準で「オン」になっている。といってもこれはISO 1600以上でないと機能しない。「オフ」にした状態でも撮影したが、明らかに赤や青のノイズが増加する。逆に、オフではシャープ感やコントラストが少し上がるが、その差は非常に少ない。この機能は常に「オン」でかまわないだろう。
撮像感度によるノイズの発生をチェックした。以下、同じ条件で撮影している |
「高感度ノイズリダクション」は標準状態で「入」になっており、ISO 1600以上で機能する。以下では、「切」にした状態でもテストしてみた |
α350はレンズを選ぶカメラなのかもしれない
α350のレンズセットは、標準的な「DT 18-70mm F3.5-5.6」のほか、高倍率ズームの「DT 18-200mm F3.5-6.3」の組み合わせが用意される。2本セットになるダブルズームキットは用意されない。となると、どちらを選ぶか迷うところ。
簡単に両方を比較してみたが、シャープさの点ではDT 18-70mmのほうが少し上のようだ。周辺の色収差や像の流れもわずかに少ない。抜けの良さもDT 18-70mmのほうが少しよく、DT 18-200mmはわずかに濁った感じになる。逆に色はDT 18-70mmのほうが青が乗る感じで、DT 18-200mmのほうが自然に感じられた。といっても、その差はごくわずかで、DT 18-200mmは描写性能では不利な高倍率ズームながら、よくがんばっているとしていいだろう。となると、11倍ズームという圧倒的な便利さと、約4万円という価格の差をどう見るか。4万円あれば「DT 55-200mm F4-5.6」などの望遠系ズームレンズも買えてしまう。これは悩むところ。
可能性としてだが、α350はレンズを選ぶカメラなのかもしれない。というのも、最後のページに作例を載せたが、マクロレンズの「100mm F2.8 Macro」で撮影した画像が非常にきれいで、周辺までリアリティの高い画像になった。すべてのレンズを試したわけではないので断言はできないが、1420万画素もある解像度は、それなりにいいレンズを組み合わせたほうが本来のポテンシャルを発揮できるのかもしれない。となると、α350のボディのみ、もしくは安価なDT 18-70mmとの組み合わせをとりあえず購入し、いいレンズをそろえていくというのも選択肢のひとつだろう。
DT 18-70mm、ワイド端で撮影 |
DT 18-200mm、ワイド端で撮影 |