オーロラ鑑賞は9月~4月までがオススメ

さて、いよいよ待ちに待ったオーロラ鑑賞である。夜空を彩るオーロラとは、最も美しく神秘的な自然現象の1つ。オーロラは、太陽風に含まれるプラズマ粒子が地球の超高層大気の酸素や窒素の分子・原子に当たり、そのエネルギーが光として放出される現象で、オーロラが発生する高度によって、緑、赤、青、ピンクなどに色が変化する。最も一般的なのは薄緑から黄緑系の色。白みがかったオーロラの場合は雲と間違えやすいが、動きが素早く部分的に発色したりするので、よく目を凝らして見てみよう。

オーロラは年間を通して起きている現象で、1年のうち200日はこの現象が発生しているという。つまり、どの季節においても条件が整いさえすれば、見られるというわけだ。その気になる条件とは、(1)空が十分暗い(光が少ない)(2)よく空が晴れていて上空をさえぎる雲がない(3)観測に邪魔な明かりが回りにない、こと。その条件を満たすには、日の長さ、月の満ち欠け、天気、観測場所の4つがポイントとなってくる。

オーロラが見られる時期としては、百夜の時期を外した、9月~4月と言われている。観測時期としては最も適しているのは、日照時間の短い11月下旬~3月。また、可能であれば、月の明かりの影響の少ない、新月の前後に行くことをオススメしたい。もし、その時期に行くことができなくても諦めることはない。月の高度が低い時期を選ぶのも重要なポイントだ。月の高度が高いほど、オーロラが出やすい北の空にまで月の明かりの影響が出てしまうからだ。天気については運に任せるしかない。晴れることを祈りつつ、あとはオーロラが出るのを待とう。

アビスコで撮影されたオーロラ

オーロラの活動が最も盛んになる時間帯は、鑑賞する場所の緯度にもよるが、23時~深夜過ぎにかけてと言われている。稀に夕方~朝方まで見えることもあるそうだ。いずれにしても、オーロラは突然姿を現すことが多い。白い雲状の光がうっすらと浮かび上がったかと思うと、その光は次第に明るさを増し、光のカーテンが瞬時に現れる。動きが早いので見逃すことがないよう注意して見ていよう。とはいっても、極寒の中でオーロラを待ち続けるのは困難。宿泊先のすぐ側(駐車場など)から見られる環境であれば室内で、見られない場合は近くのオーロラ小屋や観測所に行き、そこで暖を取りながら見るのがいい。

さて今回、筆者はラップランドへ行くのにイギリス国内からストックホルムへ飛んだ。ストックホルムからはノールストーグで一気に北上し、ノルウェーのナルヴィークからトロムソへ抜け、オスロ経由で空路帰国、という計画を立てた。9日間の日程だ。この旅の一番の目的はオーロラ鑑賞だったので、ラップランドの中でも最も晴天率が高いといわれる、キールナ、アビスコにそれぞれ2泊、3泊滞在することにした。その地域では統計学上、2~3日に1回はオーロラが現れるという情報をもとに、5日滞在すれば少なくとも1~2日は、オーロラに遭遇できるだろうと計算したのだ。

その結果は……というと、4勝1敗。わりと運がよかったほうではないだろうか。キールナの1日目は全く雲が切れず、見える気配すらなかったが、2日目は夜の早い時間から小さなオーロラが出始めた。そして同日、北の空一面に大きくひらめく、見事なカーテン状のオーロラが現れたのだ! その後、アビスコへ移動した3日目以降は、町明かりに全く邪魔をされない環境でオーロラをしっかり観測できた。キールナで見たような大きなオーロラこそは出なかったものの、晴れていればほぼ確実にオーロラが出ているといった感じであった。キールナ、アビスコのどちらの滞在先でも、あまり計算していなかったのだが、部屋からすぐの場所でオーロラ観測が出来たので、オーロラ観測所まで足を運ぶ必要がなく、ラッキーだった。部屋の窓から空を小まめに確認しつつ、オーロラが出始めたら外に、雲が出始めたら部屋へ、を繰り返して毎晩夜1~2時くらいまでを目途に観測した。楽しいひとときだった。皆さんもぜひオーロラ鑑賞を楽しんでいただきたい。