皆さんは北欧とロシアの一部にまたがる広大な地域、ラップランド(Lapland)という地をご存知だろうか。映画に詳しい方は、2006年3月に日本で公開された映画『ククーシュカ ラップランドの妖精』を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。ラップランドは近年、各旅行会社が競ってオーロラ鑑賞ツアーを組み、オーロラ鑑賞地としても知られるようになってきたが、それでも知られざる部分は多い。今回は、そんなラップランドの魅力とラップランドでのオーロラ鑑賞について紹介したい。
ラップランドってどこ? どんなところ?
ラップランドとはスカンジナビア半島からコラ半島に及ぶ、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、ロシアの4カ国にまたがる広大な地域を指す。国土のほとんどが森や湖などで覆われている北欧ではあるが、その中でもラップランドはまさに「自然の宝庫」といっても過言ではない。ノルウェー側にはスカンジナビア山脈が、フィンランド側には高原や湿地帯が広がり、フィヨルドや氷河がおりなすダイナミックな景色に圧倒され、息を飲まずにはいられないだろう。1996年には世界遺産としても登録されている。また、この地方は高品質の銅・鉄鉱石・ニッケルなどの豊かな鉱山資源に恵まれ、発展してきた。
ラップランドの大半は北極圏(北緯66度33分以北)内に属し、夏の間は太陽が沈まない百夜(ミッドナイト・サン)、また、冬の間には太陽がまったく昇らない極夜が続く。このような厳しい自然環境ではあるが、南部は針葉樹林帯、北部はツンドラに覆われ、ラップランドでしか見られない貴重な植物などが生息している。また、冬の代名詞ともいえるオーロラを目的に世界中からの観光客が訪れる。
ここまで説明すると、この極寒の地には人が住んでいるのかと思うかもしれない。この地域には、先住民族のサーメ人が居住し、トナカイの放牧で生計を立てながら伝統文化を築いている。カラフルな伝統民族に身をまとい、ウラル・アルタイ語族系に属する彼らは、現在は少数民族としても保護されている。
ラップランドは英語がよく通じ、治安のよい地域であるため、個人での旅行も安心だ。ただし、北欧は物価が高いため、1人での旅行は宿泊費が高くついてしまう。できれば2~3人のグループで行くことをお勧めする。
ラップランドへは日本からの直行便はなし、ツアー利用が便利
ラップランドへのアクセス方法だが、残念ながら現在、日本からラップランドまでの直行便は出ていない。日本からラップランドへ行く場合は、コペンハーゲン(デンマーク)及びストックホルム(スウェーデン)を経由し(便によってはさらにウーメオ、ルーレア経由をして)、キールナ空港(スウェーデン)から入ることになる。ストックホルムからキールナへは1日2~6便。所要時間は約1時間半~2時間半ほどだ。
時間に余裕があるのであれば、ストックホルムからノールラン(旧オーフォート鉄道)で北上する旅もオススメ。寝台列車で約17時間半ほどだか、列車内は予想以上に快適。3人もしくは6人のコンパートメント(車両)があり、女性限定の部屋もあるため、女性も安心して利用できる。また、イギリス・ヨーロッパ各地からは、空路でキールナやイェリヴァーレから入るか、ストックホルムもしくはナルヴィーク(ノルウェー)から列車、フィンランドからであれば、夏の間のみ長距離バスが運行しているので利用できる。