2008年のInternational CESの前夜祭を飾る恒例の米Microsoft会長Bill Gates氏のキーノートスピーチが1月6日夜(現地時間)、CES会場の1つである米ネバダ州ラスベガスのVenetianホテルで開催された。今年で12回目のCESキーノート登壇となる同氏だが、2008年夏にはMicrosoftを離れ、夫人とともに立ち上げた慈善団体の仕事に注力する予定だ。そのため、今回のCESが同氏にとっての最後のキーノートになるといわれている。ファイナルカウントダウンまであとわずかとなったラストキーノート、ここでは何が飛び出すのだろうか!?

プレキーノートの開幕2時間前の状態。これは報道機関向けの行列だが、すでに4時間以上前から人が並び始めていた。会場内も超満員で、スタート1時間前にしてほぼ全席分の入場が完了している

コンシューマエレクトロニクスとMicrosoftの10年

これがラストとなるか、Bill Gates氏のキーノート。恒例のジョークビデオ上映で流れた映像とは!?

前述のように、Bill Gates氏がCESのキーノートに登場するようになって12年が経過している。当時はまだWindows 95がリリースされたばかりのころで、インターネットとPCの普及が爆発的に進んでいた時期だ。やがて時間の経過とともにインターネット接続の帯域速度は劇的に向上し、単純なテキストから大容量の画像や音声データ、そして音声のようなリアルタイムデータの転送など、さまざまな種類のデータを伝送可能な媒体となった。ネットを介した音楽ダウンロードサービスやビデオオンデマンドはその好例だろう。またデバイス側も進化し、プロセッサ性能の向上とともに携帯電話は一昔前のPC並みの機能を備えるようになり、PCの普及ペースを上回る形で爆発的なシェア拡大を見せた。ある意味でPCよりもよりパーソナルなデバイスになったといえる。

Gates氏は昨年のCES 2007のキーノートの中で「Connected Experiences」というキーワードを標榜した。デバイスやソフトウェア、サービスの個々の機能だけにとらわれず、互いを接続することで新たな体験を生み出そうというコンセプトだ。ユーザーや一般の開発者の手を煩わせず、相互互換性に優れた強力なプラットフォームとエコシステムを提供する。MicrosoftがWindowsで目指すのはまさにこの世界だ。

CES 2007のプレキーノートでのキーワードだった「Connected Experiences」は、今年も重要なキーワードだ

「2007年1月に一般向けリリースが行われたWindows Vistaは、昨年2007年の時点で1億本の大台を達成しており、年末商戦を経てさらに普及が加速している。Windows Liveサービスの利用者は4億2000万ユーザー、Windows Mobileデバイスは2000万台のセールスを達成した。この3つのWindowsプラットフォームがこうしたエコシステムを実現する」とGates氏は語り、強力なセールス実績をバックにWindowsの存在感をアピールする。

Windows Vistaは1億セールスを達成、Windows LiveやWindows Mobileも順調にマイルストーンを刻んでおり、Windowsのコンシューマ向けエコシステム3本柱となっている

「未来の話をすれば、Connected Experiencesの世界では3つの要素が鍵を握っていると考える。1つがHDコンテンツをどこからでも楽しめること、2つめが機器やサービスの連携が行えること、最後の3つめがユーザーに新しい経験をもたらすユーザーインタフェースの提供だ。Microsoft SurfaceやTablet PC、Apple iPhoneのようなタッチ型デバイスでもいいし、音声認識などのインタフェースも考えられるだろう」と同氏は述べ、業界のビジョナリストとしての指針の1つを示した。

未来の家電を語るGates氏が挙げたのは「HD Anywhere」「接続性」「ユーザーインタフェース」の3つのキーワード。これがConnected Experiencesをドライブする鍵だという