--2008年北京オリンピックのオリンピック・パートナーとなったレノボで、末續選手はレノボ・チャンピオンに選ばれていますね。また、同社企画「New Thinker 発掘キャンペーン」でも、末續選手が"New Thinker(新しい発想で様々なチャレンジをしている人物)"の審査員となっています。審査の基準はどういった点になりますか?
New Thinkerとは、ひとつのことを成し遂げようとしている人だと思います。それを不可能と思っていない人、やってやろうという野心や課題に突進するピュアな心の持ち主だったり、目標を持っている人がふさわしいんじゃないかなと思います。可能性に限度はないわけですから。
--そういう影響を受けた方がいるんですか?
他の競技を見渡しても一流といわれる選手はすごい選手がいますけど、僕がやっている競技のなかで、目に前にそういう選手がいるんです。それは、朝原(宣治)選手なんですけどね。陸上競技は肉体的な苦痛が伴います。特に100メートルなんて。それを35歳で世界陸上の舞台でバチバチやっているというのは、相当な精神力です。孤独と戦いながら続けているなんて、他のスポーツ選手を見渡してもそんな選手はいないですよね。
だから、たんに速く走ればいいってもんでもなく、長くやることで、競技力、人間力、精神の力っていうのが育つのかなと。だとしたら、「長く・速く」ということが競技者として一番すごいことかなと思います。
--ご自身のウェブサイトでも、いろいろな考え方を披露されています。サイトで伝えたいことは何ですか?
そうですね。思いだったり、感性だったり……日常的な僕っていう人間がどういうものなのかっていうのを伝えたいですね。ただ書き殴っているだけなんですけど、身近に感じて欲しいじゃないですか。だから、ホームページには3つのカテゴリー(column、diary、"L")分けをしてあるんです。
--ちなみに、columnカテゴリーでは「恋愛論」がアップされましたね。
実家に帰った際に母親とそういう話になったんです(笑)。オレっていう人間にはどういう相手が良いのかな、って。3時間くらい話して結構討論になったんですね。で、至る結果があんな結果になったという。
--お母様からは「こういう女性がいいんじゃないの?」というアドバイスはあったんですか?
特にはなかったんですが、僕自身は母親みたいな女性が良いですね 。僕の母親はとにかく気を遣うんです。気を遣っている人って悪い人はいないんで、そういう人が好きですね。
--diaryカテゴリーでは趣味のサックスのことが書かれていましたね。「プー」しか音が出ないって書いてあったんですけど(笑)?
腹式呼吸の練習をしていて、今では「ピー」くらい出ますよ(笑)。サックスはおもしろいですね。いかんせん、競技をやっていると怪我をしてはいけないので、アクティブなスポーツはできなくなっちゃう。でも無趣味じゃつまらないし、やるならトレーニングにちょっとつながったらいいなと思って。で、いろいろ見渡していたらサックスが。
金管楽器って、毎日やらないと音が出ないらしいので、毎日やっています。リードだけでも音が出るんで、家でプープーやっています。我流でやって上達が頭打ちになったら、お金を払って教えてもらおうと思います。
--ウェブサイトにもよく出てくる「人間力」という言葉も、そうしたところにつながってくるんですか?
「人間力」というのはざっくりしていてよくわからないんですけど、僕も陸上競技に一生懸命打ち込んでいたから触れ合う世界が広がったわけです。これがまた別のことでも一生懸命やったら同じことが起こったと思うんです。だから、僕の場合はあくまで陸上競技ってきっかけでしたが、「人間力」の根本は自分が一生懸命打ち込んだことから広がっていくと思うんですよね。いろんな人と触れ合って、考え方をもらったりして自分の芯が太くなっていくんだと思います。
--最後に、2008年北京オリンピックが控えています。目標や抱負がありましたらお願いします。
常に言っているんですけど、「世界に通用する」とか「世界に目を向ける」というのももちろん正しいことなんですが、そうじゃなくて、日本や日本人が世界の中心になったほうが良くないですか?"Made in Japan"に「オォー!」という箔が付くくらい。なので、ひとりの日本人として活躍したいですね。世界と戦う大きなチャンスなので、もちろん結果も出したいですけど、それは後から付いてくると思います。オリンピックでは、できるだけグランドに長く立っていたいですね。