――分かるひとには分かるという世界ですね

井崎 このモデルを開発するにあたって、高級品しか取り扱わない有名店の社長さんにご意見をうかがってきましたが、「舶来時計と並べても遜色ない」「舶来にはない良さG-SHOCKにはある」と大変高く評価していただきました。「G-SHOCKが究極までこだわってつくっている、そういうブランドのあり方、生きざまが好きだ」と支持していただき、おかげさまで現在そういった有名時計店にもG-SHOCKは置かれています。

――MR-Gをつくるとき、もっとも苦労したのはどこでしょう

井崎 このクラスのものをつくるとなると金属加工の職人さんのところへ赴いて何度も打ち合わせをして、「そんなのは邪道だ」などと言われながら、なんとか調整して頼み込んでつくってもらったところですね。こちらが勝手に考えても、加工上あり得ないものではカタチになりませんし。現場の方に技術的検討を加えて直し、もう一回つくってもらう工程を繰り返してカタチにしていったところですね。

――トップモデルMTG-8000ではさらにこだわってつくられたのですか?

井崎 たとえばバンド。MRG-8000クラスになると手への馴染み感を考えて駒を小さくしてします。いろいろな腕のサイズの方がいらっしゃるので、あまり大駒にしてしまうと煩わしく感じることもあります。そこでMRG-7500では駒数が15コマ、MRG-8000では26コマになっています。それとMRG-8000では中のムーブメントも違います。電波時計なので時間は合わせられるのですが、それまでの商品はクオーツとしての精度が月差±20秒なんです。MRG-8000は5モーターで基本的には同じですが特別に部品を変えるなどして±15秒に上げています。以上のように、MR-Gでは素材や加工処理にコストがかかっているので、他のG-SHOCKより高価格帯となっているわけです。

――お忙しいところありがとうございました。