G-SHOCKは1990年代の爆発的なヒット以降も進化を続け、さまざまなタイプの商品を世に出し続けてきた。なかでもトップモデル「MR-G」は、先進のテクノロジーで究極の強度と機能美を実現。いままでのG-SHOCKとは性能、価格の面で一線を画している。そこで、企画から商品化までを手がけたカシオ計算機商品企画部の井崎達也氏に、MR-Gの開発経緯やその魅力について語っていただいた。

より高級感のあるG-SHOCKを


――当初G-SHOCKというと若い人向けの商品というイメージを持っていましたが、最近はデザインが多様化し、MR-Gなど大人向けの高級なラインも登場しました。そもそもこういった商品はどのような経緯で出てきたのでしょうか

商品企画部 井崎達也氏

井崎 初代G-SHOCKである「DW-5000」が出たのが1983年。金属(メタル)ケースの中にムーブメントを入れ、それをウレタン樹脂でガードするという基本構造でした。いまもそのスタイルはGIEZという「本流」シリーズに受け継がれていますが、1980年代当時は「耐衝撃構造」と「20気圧防水」という基本スペックを満たすためには、ムーブメントをメタルケースに入れるしかなかったのです。

それがG-SHOCKがブームになった1990年代に入って、技術的に大きな進化を遂げました。ケースが従来の金属からガラス繊維が入った特殊な強化樹脂に変わり、軽量化と耐衝撃に対する強度を上げることに成功。また、金型による成形が可能になったため、デザイン的な自由度も爆発的に広がりました。こうした技術革新を経て、強化樹脂の上にウレタンをかぶせ、最後に金属で覆う、というメタルコンポジットのシリーズがつくられるようになりました。さらに大人の男に似合う上質なG-SHOCKをつくりたいということから、フルメタルのG-SHOCKが生まれました。それがMR-Gです。