最後に日本、イギリス、フランスのそれぞれの国で、ユーロスターのチケットの購入方法を簡単に紹介しよう。

日本にて購入する場合で英語に自信がある人であれば、ユーロスターのウェブサイトからのチケットの予約が便利だ。インターネット予約をした場合は、控えの用紙を必ず印刷しておこう。チェックインの際には、この用紙とパスポート、そして購入時に使用したクレジットカードをユーロスターのカウンターで提示する必要がある。英語に自信がない人であれば、無理をせずにユーロスターなどの欧州鉄道会社のチケットを扱っている旅行代理店を利用するのが安心だろう。インターネットで予約を受け付けている、チケット代行の会社もある。

イギリスまたはフランスで現地購入する場合なら、セント・パンクラス駅、またはパリ北駅の窓口で直接チケットを購入することができる。ただし時間がかかるのでかなり余裕を持ってほしい。また、セント・パンクラス駅のほか、イギリス国内の58駅でもチケットが購入できる。いずれの駅で買う場合も利用したい列車の乗車日時、目的地、枚数、チケットの種類をあらかじめ調べておき、メモに書いて窓口のスタッフに見せるのがポイント。スムーズに買えるだけでなく、誤ったチケットを買ってしまった、などというトラブルも防ぐことができる。また、チケットを受け取ったら、チケットの内容は必ずその場で確認すること。パリ北駅で買う場合は、スタッフ全員が英語を話せるとは限らない。フランス語でのコミュニケーションに不安であれば、「英語可」の窓口に並ぶようにしよう。

ユーロスターのチケットカウンター。チケットの予約はここ

しかし、旅行のスケジュールが事前に決まっているのであれば、ユーロスターのウェブサイトか、現地の旅行代理店にてあらかじめ購入しておくことをお勧めする。金額面でも空席状況面でも極力、早い段階で予約をし、現地で出発直前に購入するのはよほどの場合を除いて避けたほうがよいだろう。

ちなみに、ユーロスターではユーレイルパス(ユーレイル加盟国のうち18カ国の国鉄、もしくは代表的な鉄道会社を利用できる鉄道パス)は使用できない。ユーレイルパスを持っていても、ユーロスターのチケットを買う必要があるので注意しよう。ユーロスターの価格はヨーロッパ鉄道料金の価格自由化により変動し、旅行代理店によっても価格が異なる。一番割安な料金で入手したいのであれば、事前の予約が必須だ。予約は搭乗日の3カ月前から可能となっている。予約が「早ければ早いほど」料金的にもお得になるということを覚えておこう。また、片道よりも往復で購入する方が料金的にも断然お得。片道のみの利用でも、往復での料金を念のためチェックしてみよう。子供、学生(26歳未満、国際学生証が必要)、60歳以上、ユーレイルパス所持者には割引が適用される。

ユーロスターは全席指定で、1等と2等の席が用意され、どちらの料金にも乗車料金と指定料金が含まれている。1等は料金に食事と飲み物のサービスが含まれ、食事は事前に申し出れば塩控えめ、ベジタリアンといったメニューを選べる。

ユーロスター車内

ユーロスターの搭乗手続きは、飛行機の場合とほぼ同様だ。ただし、列車とはいえチェックインには時間がかかる。特に2001年の米同時多発テロ事件以降は、手荷物検査がいっそう厳しくなり、さらに時間がかかるようになったため、最低でも30分前には駅に着いておきたい。また手荷物に不審だと思われるものがあれば没収されることもあるので、持ち物にはくれぐれも気をつけよう。

セント・パンクラス駅ユーロスター搭乗ゲート。ここからパリへ

セント・パンクラス駅到着ホーム

こうして、ユーロスターの発着駅のセント・パンクラス駅とパリ北駅の紹介をしてきたが、ロンドン - パリ間をたったの2時間強で結ぶユーロスターを利用すれば、ロンドンの大英博物館、パリのルーブル美術館の両方を1日で訪れる、なんて贅沢な日帰り旅行も可能なのだ。テーマを変えて、ロンドンのバッキンガム宮殿、パリのベルサイユ宮殿を訪れてみるのもよし、ちょっと大人のたしなみで昼はパリでワインを、夜はロンドンのパブでビールを一杯という旅も楽しめそうだ。