D300にマルチパワーバッテリーパックを装着した状態 |
ニコン 映像カンパニーマーケティング本部第1マーケティング部第1マーケティング課 川路浩平氏。 |
--D300のボディはD2系ではなく、D200系を継承していますね。
中村:DXフォーマットはすでにシステムとして最適な形ができているということが一番のメリットです。その中でフラッグシップっていうのがどういう位置づけなのかを考えてみました。やはりFXフォーマットに対して小型にできるという点が大きなメリットですが、かといって全部小型でまとめるのがいいとも限らない。たとえば持ちやすさではある程度大きいほうがいいわけです。D300はマルチパワーバッテリーパックをつけると、D2Xsに勝るともとも劣らない操作性や性能が得られます。特にコマ速(連写コマ速度)の部分では勝っている状態になりますので、そういう使い分けもできます。
マルチパワーバッテリーパックですが、D200用はプラスチックモールド製ですが、D300用はマグネシウムですから、付けた状態での剛性感が全然違います。D2Xsのフラッグシップとしての良さっていうのは剛性感の高さ、感触のキレの良さというのもありますから、そこに近づけるという意味でも、D300では材質から選んでいます。ですから、D300は単体でもフラッグシップの感触を持つことは当然として、システムを組むことによってより本格的なフラッグシップになるというのが、この商品企画の一端です。
--マルチパワーバッテリーパックですが、機能的には何が変わったのでしょうか
中村:電源電圧以外と電流制御機能があって、電池のもちを長くするような仕組みが入っています。D200用と形状も違いますが、中身はぜんぜん別物と考えてください。たとえば単3電池が8本で使用できるだけでなく、D200と比べますと電池も長持ちします。具体的な数字は使用状況によって変わりますが、今まで単3だと1000枚なんて絶対撮れませんでしたが、D300のものは常温ですと1000枚は撮れます。連写性能も、EN-EL3eでは秒6コマですが、単3のほうが電圧が高いために秒8コマが可能になります。新しく利用できるようになったEN-EL4aも秒8コマ。さらに容量が倍になりますから2000枚撮れますので、大量に撮影される方には有効ですし、D3と両方使われる場合には便利だと思います。
--DXフォーマットでいくなら、D2Xの後継としてD300を選んでもいいわけですよね。しかしそうなると拡大再生などの操作体系の違いが気になりますが
中村:D300をお使いいただいて、なんら劣るところはないと思っています。D3とD300はほぼ同時に開発しましたが、基本的にニコンとしてはD40などの機種からD3まで基本操作は極力統一していこうと考えています。ただ、ずっと、D1やD2から使っていただいているプロの方については、今までの操作体系を重視したほうがベターであるという判断ですので、残念ながら完全に同一には出来ていません。ただ、D40、D40X、D80、D300までは拡大縮小操作に関してはほぼ同じ操作になっていますし、D300からはこの操作体系でいこうと考えています。
川路:操作はなるべく一緒にするようにしましたし、拡大縮小に関していえばD3でも以前に「Enter」ボタンを押してからツーアクションだったのをワンアクションにしています。このようにD2で変更の要望があったところは改訂しています。でも、移行期は新旧機種を併用されることが多いで、なるべく新しい方向で合わせられるところは合わせているんですけれども、従来からのユーザーさんが極力迷わないようにしたいと思います。
岩崎:一番良く使われるのは再生ボタンですが、それは左肩に配置しました。メニュー関係も操作として非常に重要ですが、基本的に再生や削除は瞬時に必要になると判断しているのでほかの機種もこれに合わせています。
--D3の高感度性能に比べるとD300の高感度はあまりアピールされていないようですが?
川路:D300もDXフォーマットとしてみた場合、あるいは同クラスの他社のカメラと比べた場合にはトップクラスの高感度画質だと思います。ですが、根本的に集光力は違うわけです。ですから、同じ1200万画素でもD3とD300とで違いはあります。
中村:そこは物理的なもので、感度というのは電子数で数えますが、面積が大きければ電子数が増えるのは物理法則なのでしようがない。D3とD300を比べれば、物理的にどっちが有利かというと、サイズの大きいD3のほうが有利です。でも同じDXフォーマットの1200万画素のD300とD2Xsを比べると、明らかにD300のほうが画質はいいんです。