チャイルドシートの装着率は5割以下

警察庁とJAFの合同による「チャイルドシート使用状況全国調査 2007」の報告では、装着普及率は46.7%という大変低い数字でした。2000年に法制化されたときから年々装着率が下がり、2004年からは5割を下回る状況が続いています。チャイルドシートが義務化されても、装着率が5割以下というのは「自分だけは大丈夫」と思っている人が多いからではないでしょうか。

しかし、事故は自分で起こそうとして起こるものではありません。追突など相手側の責任で起こるケースもあります。JAFが発行するJAF MATE誌ではチャイルドシートで子どもが救われた事故例も紹介しています。この事例を見てもわかるように交通事故の危険性はどこにでも潜んでいるのです。

チャイルドシートに乗せるコツ

チャイルドシートは子どもの体を固定するので、動きたい盛りの子どもは泣いたり騒いだりすることもあるでしょう。通常、大人でも2時間に1回は休憩を取るように言われていますが、子どもを乗せているときはそれよりも早いタイミング、たとえば30分や1時間に1回など、こまめに休憩を取りましょう。

生まれた直後の赤ちゃんは、けっこうチャイルドシートにおとなしく乗ってくれます。しかしそのころは母親が抱いていて(現在は違法)物心が付いてからチャイルドシートに乗せようとすると、泣いたりしてうまくいかないことが多いようです。物心付く前から"クルマではチャイルドシートに座るもの"と体で覚えさせるのがよいようです。

様子を見て「子どもが泣く前に休憩を取ること」が大切です。また菱川氏によると、「赤ちゃんは学習しながら成長します。だから泣いて外してしまうと、"泣いたら外してもらえる"と学習して、チャイルドシートに乗るときは必ず泣き出すクセがついて、悪循環になります」とのこと。

また、「子どもが嫌がって泣き出した経験がある親御さんは、チャイルドシートに乗せるときに"また泣いたらどうしよう"とマイナスイメージを持ちがちです。しかし子どもは親のマイナスイメージを敏感に察知して"これからなにかイヤなことが起きる"と不安になります。ですから、"これから楽しいドライブに行くんだよ"とプラスイメージで乗せると、子どもも"なにか良いことが起きるに違いない"と伝わって、大人しく乗ってくれます。乗せる側の心理状態も大切なんです」と、親の心理状態も大切だとおっしゃっていました。

チャイルドシートは子どもの躾

チャイルドシート非装着の事故との種類は異なりますが、ときどき車内に放置された乳幼児が熱中症のため死亡するという痛ましいニュースがあります。チャイルドシートを使用しないことは車内放置と同じくらい危険な行為だということを認識するべきです。過去にチャイルドシート未装着の子どもが誤ってドアを開けてしまい、車外に放出され死亡するという事故があり、同乗者の親が業務上過失致死容疑で書類送検されるというケースもありました。

菱川氏にISO-FIX規格の組み合わせを説明していただいた

子どもを縛り付けて、泣いて可愛そうというのは親のエゴです。チャイルドシートを使用すること、つまり危険な状況から子どもを守ることがは親の義務なのです。来年から後部座席のシートベルトの着用規制が始まりますが、チャイルドシートやシートベルトの着用は子どもの躾と一緒です。辛抱強く続けましょう。

取材協力:タカタ株式会社
まとめ:加藤真貴子(WINDY Co.)