専用レバーやボタンでわかりやすい操作性

では使い勝手を見ていこう。ボディは十分に軽く、ホールドもいい。シャッターボタンは少々左右にブレるが、タッチや重さはちょうどいい。シャッター音も静かというわけではないが、神経に触るようなことはない。

梨地のボディは質感もなかなか高い。ただ、レンズが大きく、ボディのバランスはもうひとつ。ボディが約480g(本体のみ)で14-50mm F3.8-5.6のレンズが約434gだから、ほとんど同じくらい。レンズのデザインも従来のL1に合わせたフラットなもの。これはこれでいいとして、もっと軽い、気軽に使えるレンズが欲しい。

右肩に大きめのモードダイヤルを備え、露出補正や絞りなどを調整するダイヤルは前後に2つ装備する。単写・連写などの切り換えや、フォーカスモードの切り換えはメニュー内ではなく、それぞれ独立したレバーをもつ。これはわかりやすくていい。

L1ほどではないがボタンは多め、と思ったのだが、数えてみたらE-510とさほど変わらなかった。フリーアングル液晶のためモニター左側にボタンが置けず、右側に集中することで多く見えていたようだ。しかし、それで割を食った(?)のが十字ボタン(カーソルボタン)。絶対的なスペースが少なく、操作中にとなりのボタンに触れてしまうことがしばしばあった。メニューの操作はもちろん、各ボタンに機能が割り振られているため使用頻度はとても高い。もう少しボタンサイズやスペースに余裕を持たせてほしいと思う。

もうひとつ気になったのはダイヤルの回転が軽すぎることだ。右手親指の近くにある「後ダイヤル」は露出補正などで使う重要なダイヤル。ボディの角の使いやすい位置にあるのはいいのだが、軽く動いてしまうため、ぶら下げて歩いたり、ほかの操作をしている際に触れて露出が変わってしまうことがあった。撮影前にちゃんと確認しないほうが悪いと言われればそれまでだが、もうちょっと重くすると失敗も少なくなると思う。

ホールディングはいい。適度に小ぶりで、女性の手でも大丈夫

レリーズ。一般的で、半押しもわかりやすい

メニュー操作。十字ボタン(カーソルボタン)がちょっと狭い

操作の中心となるボタン類

マグニファイヤー必須のファインダー

ファインダーの視野は、撮像素子が小さいフォーサーズ規格のため、さすがに分が悪い。覗くと遠くて狭い感じが付きまとう。しかしそれを補うために、L10には最初から1.2倍のマグニファイヤーが付属している、はずなのだが、試用機には付いていなかった。そこで手持ちのオリンパス用マグニファイアー(ME-1)を付けてみたところ、そのまま使えてしまった。ちゃんと視野も広くなる。気のせいか、E-500やE-510で使うより、周辺落ちは少なく感じた。視野率は95%と、このクラスでは一般的なところ。

光学ファインダーを使用する際には、モニターを使った情報表示が可能。黒字に白で見やすいが、文字のフォントが小さくて細い。無骨でもいいので、もっと太いほうが実戦向きだと思う。

液晶モニターは20.7万画素の2.5型TFT液晶。流行の3.0型になっていないのは、フリーアングル液晶のためだろう。見やすさはまあまあといったところ。直射日光が当たると見づらいが、これはどのカメラでも似たようなものだ。ただ、ライブビューを推すなら、さらなる上を目指してほしい。

撮影後に画像が表示されるのはもちろんだが(オートレビュー)、全体を表示したあと、自動で拡大表示する機能はとても便利。ピントの確認などで役に立つ。ただ、その状態からさらに拡大ができないので(再度、再生ボタンで表示すれば拡大可)、自動拡大倍率をあらかじめ指定できるようになればもっと便利だろう。

ファインダー内像。実測で約18.5度だった。これはKissXよりも少し狭い

標準で添付されるマグニファイヤー

左が標準のファインダー接眼部。右はオリンパスのME-1を装着した状態

光学ファインダー使用時に常時表示される情報画面。オフにもできる

画像の標準的な再生画面。シンプルで見やすい

ヒストグラム表示画面。グラフは小さめ

色の変更に専用ボタンを用意

メニューは十字ボタン中央の[MENU/SET]で起動する。左側のタブで[撮影メニュー][カスタムメニュー]などに分かれた一般的なもの。特に迷うこともないだろう。ただ、トップメニューに現在設定されている項目が出るものと出ないものがあるのが不思議だ。例えば[画像アスペクト]はその右に[4:3]といった表示が出るのに、[フィルムモード]は何も出ない。

モードダイヤルを回してアイコン部分に合せると各シーンモードでの撮影になるのは一般的だが、L10はさらに具体的なシーンに合わせた選択が可能になっている。例えば[人物]モードの中では[屋内人物]や[屋外人物]が選択できるし、[風景]モードには[自然]や[建物]が含まれている。デジタルカメラにとってシーンモードは単なる初心者向きの機能というにはもったいなく、とても可能性があるものだと筆者は考えている。この試みはとてもいいと思う。

画像の色調など、絵作りを変更するのが[フィルムモード]だが、L10では右肩に専用ボタンを装備する(メニューからも設定可能)。これはとてもいい。せっかくのデジタルなのだから、積極的に使いたいところ。また、ライブビューの状態でなくても[フィルムモード]ボタンを押すと自動でライブビューに切り替わる (メニューからでは切り替わらない)。実際の色の変化を見ながら設定できるわけだ。屋外などの厳しい条件下で微妙な色の違いが分かるかは難しいところだが、少なくともモノクロは判断できる。よい機能だ。

FUNCボタンは[ホワイトバランス][ISO感度][記録画素数][クオリティ][OISモード(手ぶれ補正)][フラッシュ]が設定できる、いわゆるショートカット的なもの。しかしISO感度やホワイトバランスは十字ボタンから直接呼び出せるし、画像サイズや手ブレ補正は頻繁に変えるものではない。すると重要なのはストロボの設定だけではないだろうか。オリンパスのように情報表示画面から直接変更できるようにしたいなら、全部できるようにしたほうがよいだろう。

そのほか気になったのは、撮影では外部ストロボをつないでもちゃんと発光するのに、マニュアルホワイトバランスを取ろうとすると発光しないこと。内蔵ストロボならホワイトバランスメニューの[フラッシュ]でごまかせなくもないが、外部ストロボが発光しないと色の合わせようがない。プロならカラーメーターで色温度を計って数値(ケルビン値)入力という手もあるが、普通の人はカラーメーターなんて持っていないだろう。このあたりは修正してほしいと思う。

[アドバンスシーンモード]の選択画面。[人物]では[屋外人物][屋内人物]などが選べる

[シーンモード(SCN)]の画面。ここだけメニューがまったく違う

通常のメニュー。左のタブでジャンルを選び、右で各項目を選択。決定は十字ボタンの中央で行なう

フォーサーズは4:3の比率が基本だが、3:2にもできる

フィルムモードの選択画面。[スタンダード][ダイナミック]などについて、それぞれコントラストなどが設定できる

画像クオリティの設定画面。JPEGとRAWの同時保存も可能

手ブレ補正モード。対応レンズでなければこのメニューは表示されない

自動再生とその後の拡大表示時間を設定できる。といっても最大で3秒

十字ボタンの上側で表示されるISO感度設定。これはライブビューでの表示

FUNCボタンによる表示。他とはメニュー形式も異なる