4モデルをラインナップ、BTOには対応しないことでぐっと廉価に
ThinkCentre A61e Ultra Smallシリーズは、個人ユーザー向けでは644912Jのほかに3モデル、つまり合計4モデルがラインナップされている。644912Jと同一のハードウェア仕様ながらもOSのみがWindows XP Professionalに変更された「6449A18」、644912JのHDD容量を250GBに増量し、「Microsoft Office 2007 Personal」をバンドルした最上位モデル「6449A19」、CPUがシングルコアのAMD Sempronプロセッサ LE-1150(2.0GHz)、メモリが512MB PC2-5300 DDR2 SO-DIMM、ハードディスクが80GB容量の7,200回転Serial ATA HDD、光学ドライブがCD-RW/DVDコンボドライブ、OSがWindows XP Professionalという構成の下位モデル「6449A15」だ。同社オンラインショップでの価格は6449A15が6万4,050円、644912Jと6449A18が8万6,100円、6449A19が10万8,150円と最上位モデルをのぞきすべて10万円を大きく切る大胆な価格設定がなされていて、かなり値頃感が強い。なお、同社製品にしては珍しく、以上のラインナップにBTOオプションは用意されておらず、それがこのコストパフォーマンスの高さの要因のひとつでもあるそうだ。
ちなみに同社では、AMDプラットフォームを採用した理由として、Intelプラットフォームと比較してコスト面でのアドバンテージに加え、最大消費電力約88.2W、標準消費電力約46.4W、スタンバイ時約3.9W、電源オフ時約2.5Wという最新Intelプラットフォームに匹敵する消費電力の少なさも挙げている。また、同じくAMDプラットフォームであるAMD Athlon X2 4000+を搭載したミドルタワー型デスクトップパソコン「ThinkCentre A61 Small Desktop」と比較した場合でも、約27%もの消費電力削減を達成している。国際的な省電力基準である「ENERGY STAR 4.0」に準拠したほか、使用材料やリサイクル性に配慮して環境マネジメント基準「EPEAT(電子製品環境アセスメントツール)」においてレノボ初となるGOLDに認定されている。
気になる稼働音はヒートパイプと新設計の筐体で「ささやき声程度」
デスクトップパソコン本体をデスク上に置く際に、サイズ以上に意外と気になるのが稼働音と排気だ。オフィスなどで向かいの席のデスクトップパソコンから発生する耳障りな稼働音と常時吹き付けてくる排気にうんざりしている、という読者も多いことだろう。
本製品では、電源ユニットを筐体内に内蔵せず、130W容量のACアダプタから電源を供給し、さらにはCPUの冷却にヒートパイプと放熱フィンを組み合わせたファンレスクーラーを採用することで稼働音と排気量を大幅に抑えている。ただし、完全なファンレス構造ではやはり高負荷時に熱暴走の不安があるため、CPUクーラーの真横に60mm角のケースファンを配置することで、CPUの冷却効果アップと筐体内の排熱の2役をこのケースファン1基のみでこなしている。このケースファンは、羽根の大きさから形状、回転数によって発生する騒音レベルや音質の研究を重ねた結果から生まれたものだ。さらには筐体内のエアフローを最大化する新設計の筐体を採用した結果、同社のA4ノートパソコン「ThinkPad T60」の高負荷時程度、数値にして約30dB以下の騒音レベルを実現しているという。
CPUの冷却はヒートパイプと放熱フィンで行われている。チップセットにもヒートシンクが装着されていて、基板上は完全なファンレスだ |
唯一のケースファン。ケースカバーを閉じるとCPUクーラーの真横にこのケースファンが位置する。CPUの冷却と同時にHDDからの熱を排出する機能も兼ねている点に注目だ |
実際にアイドル時ならば本体から15cmあたりまで耳を近づけなければ稼働音が聞こえないほど騒音レベルが低い。ベンチマークソフトなどを使って負荷をかけた場合でもファンから発生する排気音はほとんど変わることはなく、「ウィーン」という中高音域のモーターのうなりのような音がわずかに聞こえるだけだった。筆者はかなり静かな室内で試用したためこれらの稼働音に気づいたが、オフィスの中や通常の生活騒音内ではまず耳につくことはないだろう。ただし、このモーターのうなりのような稼働音は、音量そのものは小さいものの、中高音域に属する音質で人によっては好き嫌いが大きく分かれそうなところではある。
排気については、高負荷時に背面の排気口に手をかざしてみてもほんのりと生ぬるい温風がかすかに吹き出しているだけだ。いささかパソコンのレビューには似つかわしくない表現であることを承知の上で言うならば、「そよそよ」といった形容が似合う柔らかな風量だ。まさに、比較対象はデスクトップパソコンではなくノートパソコンの稼働音と排気量で、トリッキーなギミックを使うことなく通常のデスクトップパソコン向けの構成でここまでの静粛性を実現しているのは素直に評価したい。