現状の市場ニーズとは

では、開発側や企業側は、このFileMakerの新製品を受け入れる体制にあるのだろうか。その答えは、「クライアントが望んでいることは何か」を考えれば明確になってくるという。

「トータル的に我が社の社員力を高めたい、と思っている会社の経営陣にとっては、社内情報システムのSQLデータベースに入っている貴重なデータを、第一線の現場の社員の戦力アップに使いたいはずです。FileMaker Pro 9を併用すれば、SQLデータベースのデータをリアルタイムに活用できるので、まさに即戦力です。しかも、その場合、SQLデータへのアクセスについて、あらかじめアクセス権を必要に応じて制限できるようになっているので、セキュリティの管理上も安心です。FileMakerとSQLは、相互補完的で、両方を併用することでシナジー効果がうまれるわけです」(宮本社長)。FileMakerと他のデータベースが相互補完的な役割を果たすことをエンドユーザー自身が評価していく、と宮本社長は見ているのだ。

また、「FileMaker Pro 9」の発売により、デベロッパが、FileMaker単独だけでなく、FileMakerとSQLデータベースとを組み合わせたトータルソリューションをクライアントに提案できる環境も実現されたので、デベロッパも提案しやすくなったし、そこにクライアント側からの要望の声が大きくなれば、FileMakerの利用はさらに広がっていくだろうという考えだ。

宮本社長は、Oracle、MySQL、Microsoft SQL ServerなどとFileMakerは、あくまでも"相互補完的な存在"と主張する。これらを使用してうまくいっているユーザーに対して、FileMakerへのリプレイスを求めているわけではないというのだ。「システムを強化するために活用していただきたいという話です。もちろん、何も使用していない場合にはFileMakerからはじめていただければいいのですが、既にSQLを使用している場合には、FileMakerを併用すれば、柔軟かつパワーアップしたトータルシステムを実現でき、ビジネスの成長や拡大につながります」。

FileMakerコミュニティ外からの熱い視線

「以前は、FileMakerは確かに素晴らしい。でも、FileMakerというひとつの世界だね、と言われるケースもありました。しかし、画期的な新製品FileMaker 9 の登場で、SQLやPHPの世界で開発に関わっている方々、システムインテグレーターの方々のFileMakerを眺める目線が変わってきた。これらの方々がFileMakerを企業情報システムの有力な選択肢として位置づけ始めたという手応えを感じています」(宮本社長)。実際、ファイルメーカーデベロッパコミュニティーの開発業者とSQLやPHPの世界のデベロッパの人たちとの接点が増えてきているのが事実だそうである。ビジネスチャンスが広がったといううれしい声も同社には聞こえてきているという。「環境は揃いました。あとは、FileMakerの良さを広く知っていただくよう努めたいですね」と宮本社長は意欲をみせている。