しかし、スタンフォード大やカーネギーメロン大のような一流大学や大企業のチームが勝つと決まったわけではない。その良い例がTeam Grayである。このチームは保険会社を経営しているGrayさんが、2004年のGrand Challengeの報道を見て、これは面白いから我が社でもやろうと言って作ったチームである。車やロボットには無関係の保険会社の急造チームが、2005年のGrand Challengeで並み居る強豪を抑えて、見事、4位に入賞してしまった。
今回は市街地走行であるので、認識精度を上げるために各チームはセンサーやコンピュータを強化しており、有力チームの車は、デュアルコアのCore 2プロセサを10個程度搭載する車が多い。このため、車の発電機だけでは容量不足で、追加の発電機を積む車が多いが、Team Grayの車の自動操縦システムは、身体障がい者用の車の操縦補助システムを有効に利用し、写真で見るようにセンサーも少なく、コンピュータも省電力で、全体で168Wの消費電力に抑えて追加の発電機を使っていないという。
Team Grayのスポンサーは、Gray保険会社と、身体障がい者用の操縦補助システムを作っているElectronic Mobility Control社、そして、GPSとジャイロを利用した位置測定システムを作っているOxford Technical Solutionsという会社である。
なお、Team Grayの車の名前はPlan Bであるが、英語ではPlan Aが正規の計画案で、それが上手く行かなかったときのためのバックアップの計画をPlan Bと呼ぶ。スタンフォードやカーネギーメロンのPlan Aが失敗したら、Plan Bで行こうという意味であろうか。
Team GrayのPlan B。(出典:DARPA) |