さらには、エンタテイナーのようにド派手な演出をする選手もいた。チェコ共和国のFrantisek Rohacek氏は自国の国旗を使ったような衣装を着用し、競技開始と同時に衣装をバッと脱ぎ捨てるパフォーマンスも。私の主観だが、競技中もゴーイングマイウェイといった様子で、至ってマイペース。WBCを心から楽しんでいるような印象を受けた。
また、大会を盛り上げるオーディエンスの存在も忘れてはならない。エスプレッソやカプチーノが完成する度に拍手が巻き起こり、競技者にとっては心強い存在となったことであろう。特にロシアや北欧の競技者が登場した時が印象的だった。家族や同僚、友人といった関係だろうか、それまで静かにしていた人々10数名が一斉に立ち上がり、小さな国旗を振って応援をしていた。
会場は満席。静かに見守る時もあれば、立ち上がって国旗を振りながら応援する時もある |
そして、いよいよ日本代表である宮前みゆき氏の解説に入るとしよう。宮前氏は兵庫・神戸のカフェ「カフェラ 大丸神戸店」に勤務するバリスタ。JBCでは史上最年少・女性初の優勝を果たした。WBCでの日本最高位は、2005年アメリカ・シアトル大会における門脇洋之氏の2位。日本初の優勝をもぎ取るためにも決勝進出が期待される中で、いよいよ宮前氏が登場となった。
まず、宮前氏のテーブルセッティング。テーブルに半月盆をセッティングし、ナプキンは水引で留める。なんとも日本らしい演出だ。宮前氏は「今日という日は人生に一度訪れたチャンスの日と思って競技します」と英語でコメントし、15分間の競技タイムがスタートした(以降、宮前氏は競技中、英語を使用)。まずはエスプレッソをつくり、その後、カプチーノ、シグニチャー・ビバレッジと順調に進んでいく。シグニチャーは、パッションフルーツや蜂蜜を使ったソースに、エスプレッソ、和三盆入りのエスプレッソクリーム、キャラメルクリームを合わせたものを注ぎ、最後にスチームしたミルクを注ぎ入れるといった内容。無事、制限時間内に終了し、観客からは盛大な拍手が送られた。
2日間にわたった予選では、48人の選手がそれぞれの技術を披露。そしていよいよ決勝進出者の発表となった。観客が固唾を呑んで見守る中発表された結果とは……。