左上の写真は現在のAMDがカバーしている市場だ。同社はNational SemiconductorからGeode事業を買収した際に、x86アーキテクチャベースのプラットフォームをPCだけでなくハンドヘルド機器やデジタル家電、ストレージ機器など広範な製品に広げる「x86 Everywhere」戦略を打ち出した。中央が現在、x86が浸透している市場である。左上のように、ATIの統合を通じて、ビジュアル事業を起点にx86市場をさらに拡張できるというのがAMDの考えだ。
新しいx86 Everywhere構想の上に、TDPをかぶせたのが左上。このターゲット市場地図を反映させる形で、AMDは「Bulldozer」と「Bobcat」という新設計のコアを開発している。Bulldozerは、サーバやクライアント向けに性能や拡張性を重視した設計となる。シングル・スレッドの性能向上を追求しながら、高いワット性能を実現するという。
このBulldozerは、初のFusionプロセッサとなる「Falcon」に搭載される。Falconには、Bulldozerコアのほか、メモリーコントローラ、フルDirectX GPUコア、UVD(Unified Video Decoder)、キャッシュメモリ、PCI Expressなどが統合される。
また前述の2009年登場予定のサーバおよびハイエンド・クライアント向けプロセッサSandtigerにもBulldozerが搭載される。Opteron市場を引き継ぐSandtigerは、メモリーコントローラを備えるが、GPUコアは統合されない。
一方のBobcatは極めて低い消費電力で駆動するモバイル/ウルトラモバイル機器、家電などがターゲット。コスト効果に優れたワット性能を提供するという。
BulldozerとBobcatという名前から想像すると、ブルドーザー(Bulldozer)がパワフルなワット性能でx86市場を地ならししながら拡張し、ブルドーザーが入り込めない場所を小型のショベルカー(Bobcat)が地道に開拓していく……という位置づけになるのだろう。