CrossOver Macを含め、これまで何度もWineベースの製品を利用する機会があったが、正直なところ"動けばラッキー"的な先入観があった。Linux版一太郎のように、安定して動作する日本市場向けの商用製品もあるにはあったが、インストーラを含めWindowsアプリのうち結構な割合が動作しなかったことや、日本語の表示や入力で問題を生じる場面が少なくなかったことは、数年以上にわたりWineに触れてきたユーザならば認めざるをえないだろう。

しかしこのCrossOver Mac 6.1日本語版、予想以上の仕上がりといえる。Microsoft Officeや一太郎といった、需要が高いと思われる商用製品のいくつかを正式サポート、日本語入力も含めた動作が確認されている。ベースとなるWineは数カ月前のものだが、Tcl/Tkなどのスクリプト言語も活用しつつ実装されたGUIなど、よく調べなければWine部分が見えてこないほど手が入っている。操作性や外観はMac OS Xとの親和性が高く、単なるGUIラッパーに終わっていないことは間違いない。

CrossOver Macのメリットは、アプリケーションにもよるが仮想化ソフト/エミュレータに比べ軽快に動作することなので、その部分が魅力なユーザには"買い"だろう。ベースのWineも、CodeWeaversの支援もありプロジェクトが活発に動いているため、今後のアップデートも期待できる。

とはいえど、動作しないアプリケーションが少なからずあることもまた事実。Win32 APIというプロプライエタリ製品群の総本山的存在をオープンソースで実装することは、やはり一朝一夕に達成することは難しく、あまり過度な期待は禁物といえる。ある程度"割り切れる"ユーザにお勧めしたい。

「My Documents」や「My Pictures」は書類フォルダ上に作成される

タスクマネージャの「表示」となるべき部分が文字化けしている