ルーターを介した活用について

持ち運びに便利なロジテックの無線モバイルルーター「SkyLink」。ルーターとしてだけでなく、無線アクセスポイント、無線クライアントとしても動作する

ウルトラエックスのサイトに掲載されているFAQには以前「別途ルーターをご用意頂き、WAN側のアドレスをDHCPで取得するようにすれば、複数の機器をLAN側に接続できます」という記載があったが、本稿掲載時点ではルーターとの組み合わせ利用については触れられていない。これを検証すべく、ロジテックのモバイル型ブロードバンドルーター「SkyLink」を用意して検証してみたが、結論から言うと、残念なことに、このルーターからは使用できなかった。

SkyLink自身はWAN側ポートのIPアドレスを「DHCP」(自動取得)に設定することができ、筆者は実際にこの設定で運用した実績もある。今回の検証に当たっても、別の環境において正しく動作することを確認した上で臨んでいる。なお、ファームウェアはロジテックの公開している「2006/11版」を適用済みだ。

この状態で「ブロードバンドルータ」モードに設定し、「つないでイーサ」をクロスケーブルでつないでダイヤルアップさせると、確かにSkyLink側にグローバルアドレスが付与されているにもかかわらず、ルーティングされないという不可思議な状態に陥る。正確な理由は不明だが、これに関してはSkyLink側での対処も必要になると思われ、現時点ではどうにもならないだろう。

ルーターを利用したいというユーザーは、このように「基本的には動作保証が何もない」ことを念頭においたうえで導入を検討する必要があるだろう。

最後に

W-SIMを活用するガジェットのひとつとしてみるなら、「つないでイーサ」はなかなか興味深い、それなりに遊べるものだといえるだろう。しかしながら、「ダイヤルアップアダプタ」という立ち位置は現在では非常に微妙で、ユーザーが不慣れな場合はルータと混同されかねない危険もある。

だが、開発をしたいユーザにとっては、公開されている情報も含めてなかなか面白い、実用的なオモチャとしての側面があることも確かである。この商品は、いわば「ダイヤルアップアダプタという一般的な商品価値を備えた、マニア向け開発キット」という複雑なセグメントに属している、と言えるかもしれない。

万人向けでないことだけは確かだが、W-SIM活用の「アイデアのひとつ」として、マニアならば手元に置いておくのも一興だ。これを足がかりに「玄人への道」を上り始められるかもしれない。