実際の利用について
では実際に、Windows搭載PCを使った場合の利用方法を見ていこう。無線LANを搭載したPCを利用する場合は、無線LANを無効にしておいた方が、誤解なく設定が進むだろう。
まずは、DHCPを利用してIPアドレスを自動取得する設定にする必要があるので、「ネットワーク接続」の画面を開こう。Windows XPの場合は「スタート」→「接続」→「すべての表示」、またはエクスプローラ上の「マイ ネットワーク」を右クリックし「プロパティ」を選択すれば表示される。
ここで「ローカルエリア接続」を右クリックし、プロパティを表示させる。PCの機種によっては「ローカルエリア接続」がいくつもあるかもしれないが、その場合はメニューの「表示」→「詳細」を選択して、「デバイス名」に表示される名称から、どれが今回イーサネットケーブルを接続するポートのものなのかを判断しよう。
「ローカルエリア接続のプロパティ」から「インターネットプロトコル(TCP/IP)」を選択して、プロパティを表示させる。ここで「IPアドレスを自動的に取得する」および「DNSサーバーのアドレスを自動的に取得する」を選択しておく。
設定できたら、「つないでイーサ」とPCをクロスケーブルで接続して、ダイヤルアップしてみよう。ダイヤルアップができたら、正しくネットワークアドレスが取得できたかどうかを、以下の手順で確認しよう。
- 「スタート」→「ファイル名を指定して実行」で、「CMD.EXE」と入力してOKを押す
- コマンドプロンプトが起動するので、「IPCONFIG /ALL」と入力する
- 下図のように、グローバルアドレスが付与されて表示されれば成功である
成り立ちについて
「つないでイーサ」は、単なる「ダイヤルアップアダプタ」ではない。販売元であるウルトラエックスのサイトにも記載されているが、ワンチップ化されたWebサーバー機能を内蔵する、超小型Webサーバー+ダイヤルアップブリッジ、というのが本来の形だと思われる。
ワンチップサーバーには、サイレントシステムの開発したチップが採用されている。「つないでイーサ」の型番は「OSX-1」だが、これに近い型番である「OS-1」というチップあたりが使われているのではないかと思われる。このチップには独自にTCP/IPスタックが実装されており、DHCPサーバー/クライアント機能、Webサーバー機能も備えている。わずか38×51mmの基板にこれだけの実装ができるのは、非常に興味深い。
販売されている「つないでイーサ」の内蔵機能には今のところ、ダイヤルアップアダプタ以上の機能は備わっていないが、これについては今後のファームアップが期待されるほか、ユーザによる「独自のファームウェアカスタマイズ」が考慮されている。一切のサポートはない無保証の部分なのでここでは触れないが、詳細を知りたい方はサイレントシステムのWebサイトをご覧いただきたい。決して万人向けの売りではないが、好きな人にはたまらない、マニアックな訴求力となり得るかもしれない。
ユーザの中には、「つないでイーサ」単体でダイヤルアップルータにならないか、という希望を持っている人もいることだろう。標準の環境ではNAT機能が実装されていないのでまず不可能だが、開発手法と環境の公開により優秀なハックが行われるようになるならば、もしかしたら、という余地はあるかもしれない。