望遠側に延びる5倍ズーム
T100は薄型モデルでは珍しい5倍ズームレンズも特徴の一つ。街でスナップを撮っていても、3倍ズームモデルよりも遠くまでズームできる(望遠になる)のが実感できる。望遠側は175mm相当まで延びる。被写体に近寄れない場合は強い味方になるはずだ。
ただT100に限らないが、望遠側だけでなく広角側にズームを広げてほしいと思う。室内など引きの取れない場所では、35mmでは被写体が収まりきらないことも少なくない。24mmまでいくと少々マニアックだが、28mmぐらいはほしいもの。現状では28mm相当の広角が撮影できるモデルは少ないだけに、28mmからのワイドズームを実現してくれれば、それだけで魅力になると思う。
今回、逆光の作例を撮影してみたが、十字状に大きく出るフレアや、光源から外れて出るゴーストが気になった。多少のフレアは仕方がないが、その周辺に色が強く乗ってしまった。コンパクトカメラとはいえ、これだけくっきり出るのは気になるものだ。コーティングなどでどうにかならないものだろうか。
ズームの使い勝手そのものは悪くない。素直に動き、遅れるような感じもない。また、高倍率ズームでは得てしてフォーカスに時間がかかるものだが、それほど気にならなかった。もちろん一眼レフに比べれば速いとはいえないが、コンパクトとすれば十分以上の性能だろう。
逆光で撮影。十字状のフレアだけでなく、あちこちにゴーストが発生している。 |
手ブレ補正はもちろん、顔検出機能も搭載
T100には現在薄型コンパクトカメラのほとんどに採用されている手ブレ補正機能に加え、新たに顔検出機能「顔キメ」機能も搭載している。手ブレ補正の効果は特に公表されていないが、薄暗い室内撮影や望遠撮影でその効果を感じることができた。またT100は光学ズームが5倍のため望遠で撮影することが多い。ホールドが甘くなりがちなコンパクトカメラにはいまや手ブレ補正は必須だろう。
手ブレ補正機能は、シャッターを半押しした時にだけ動作する「撮影時」と、電源を入れている間常に動作する「常時」、手ブレ補正機能を使わない「切」があるが、標準ではシャッター半押し時だけ動作する「撮影時」になっている。「常時」は常にレンズを動かし続けるので、ムダな電池消耗を防ぐ意味でも「撮影時」が正解だろう。シャッター半押しで手ブレ補正機能が動作すると、モニターでも細かなブレがなくなるのがわかる。安心して撮影できるはずだ。
T100やT20から搭載された顔検出機能は、液晶モニター上に白い枠が表示され、顔を認識するとそこを示し、ピントや露出などが合わせられる。最大8人までは認識できるということなので、結婚式やパーティなどでも友達だけを撮るような時には使えそうだ。写真に写った顔も認識するし、試してみたところ手近にあった猿のおもちゃでも顔と認識した。どうも目と輪郭の位置関係で顔と認識しているようだ。ただ、人間の顔と違って認識に時間がかかったり、カメラを動かしている間に認識している枠が外れてしまったりと、カメラが悩んでいるように見える。あまりカメラをいじめるのは止めにしよう。
露出はやや過敏気味
撮影していて気になったのは、露出がやや過敏に反応するということ。下の実写例にあげたものは、ほぼ同じアングルで複数撮影したものだが、何も設定を変えていないにもかかわらず絞りがF4.5からF5.6へと2/3段変化してしまった。露出は発色にも関係するから、場合によっては「風景」モードよりも色が濃くなるようなことも起こる。一眼レフならマニュアルにして露出を固定すればいいが、コンパクトではマニュアル操作が面倒だし、第一T100にはマニュアル露出の機能がない。
色に関しては、鮮やか目のわかりやすい色で好感が持てる。かといって、鮮やか目の被写体でも色が張りつくようなことはなかった。特に少しアンダー目に撮影すると、色乗りもよくてバランスのいい写真になるようだ。先の露出が過敏な傾向も合わせて考えると、画像を確認しながらこまめに露出補正を行なうのが使いこなしのコツになるはずだ。