CMUTセンサー
こちらはこれまでの説明に無い物であり、実はまだ製品化もなされていない。あくまでも開発段階のもので、そもそも製品化をするかどうかもこれから検討するという段階のものである。
CMUT(Capacitive Micromachined Ultrasound Transducer)とは非常に薄い(数百nm~数μm)真空領域を形成、その上下に振動膜を配した構造である。
この真空領域に電界を掛けると静電気力が生まれ、これにより振動膜が励起される。逆に振動膜が外部からの圧力により振動すると、真空領域の静電容量が変化することで電気信号の形でその振動の強さを測定できるという仕組みである(Photo34)。
このCMUTは高感度が実現できるという事で、例えば医療用超音波診断装置などに使われて始めているが、これをタッチセンサーの代わりに利用しよう、という試みである(Photo35)。
実際デモでは4種類の表面材料(Photo36)の下にこのCMUTセンサーを配し(Photo37)、On/Offだけでなく押し込む強度もちゃんと測定できることを示した(Photo38)。
最終的に製品化を行うかどうか、というレベルでまだ未定ではあるが、同社のMEMS技術を利用して差別化が図りやすい、というあたりからも結構CMUTの実用化には力を入れている様が伝わってきた。
ということで
センサーといっても様々なものがあり、Infineonが提供しているのはその一部でしかなく、また業界的にもすごく広範という訳でもない。
これは冒頭のPhoto05にもあるように、伸び率が大きいマーケットに特化するという話とも関係しており、あの業界もこの業界も、と手を広げるとコストが増える割に売り上げが伸びないという事になりかねない。あくまでもフォーカスする分野と業界を絞った上で、強みであるMEMS技術を生かした形での製品展開を進めてゆく、という形での動きなのは理解できる。
ただそうなると、その特定分野向けの特定センサーに用があるユーザーには知名度が高いが、それ以外のユーザーには知られていないままという現状の状況から脱するのは難しいようにも思う。これを打破するための方策の1つとして今回のワークショップが開催された格好だが、分野とか用途がピンポイント過ぎてて、売上向上はまだしも知名度の向上に関してはちょっと厳しい感じもある。ただ3D ToFセンサーとか3D磁気センサーとかは、もう少し別の用途にも応用できそうな気もする。何かしら、もう一皮剥ければ大化けしそうな気もする製品群である。