MEMSマイクロフォン
先ほどもちょっと触れたが、MEMSマイクロフォンは現在世界トップシェアとされ、スマートスピーカーや最近だとワイヤレスヘッドホンなどに広範に利用されている(Photo20)。
同社によれば、必要に応じて高SNRとか高AOP(Acoustic Overload Point:最大音圧レベル)の製品を提供できることや、例えばスマートスピーカーで使われるPhased Array Microphone(複数人が存在する環境で、どこから声が来たのかの方位検出に利用する)などで従来のコンデンサマイクよりも有利とされる(Photo21)。
ラインナップ的にも、一部アナログ出力の製品は残るものの、殆どがデジタル出力になっており、用途に応じて最適な製品を選べるようになっている(Photo22)。
会場ではPSoCを利用しての音声認識のデモが行われた(Photo23,24)。
CO2センサー
Photo05で環境センサーとして示されているのがこれである。国内ではまだこれからだが、海外ではCO2濃度を1000ppm以下に抑えるような法令あるいは勧告が行われており、国内でも厚生労働省が推奨を行っている。
要するにエアコンだったり高密度住宅における換気システムだったりに、CO2濃度の測定機能を付加することで、CO2濃度を1000ppm以下に抑えようという動きである。余談であるが、CO2濃度は居眠り運転の要因の1つにも挙げられており、なので車内でのCO2濃度を検出して換気を行うような動きも自動車会社では出ている(Photo25)。
このCO2センサーではNDIR(Non Dispersive InfraRed)方式が広く利用されている。これはCO2が赤外線を吸収する仕組みを使い、チャンバーの中に空気を通し、チャンバーの端から赤外線を発してもう一方の端でその強度を測定する。するとCO2の濃度に応じて受光する赤外線の強度が落ちるので、ここからCO2濃度を算出できるという仕組みである。構造は簡単で安価な一方、定期的な校正が必要であり、また精度を高めるためにはチャンバーの長さを長くする必要があるので小型化が難しいほか、振動に弱いといった欠点もある。InfineonはここにPAS(PhotoAcouStic)方式を利用し、NDIRと同等の精度を確保しながら小型化を実現している(Photo26)。
デモでは実際に部屋内のCO2濃度を測定して示した(Photo27,28)。
3D磁気センサー
こちらはPhoto06ではなくPhoto07の先頭に出てくる(ので、分類的にはATV事業部なのかもしれないが、民生用にも利用されるので今回紹介されたものと思われる)。
ホール素子を3次元的に配することで、磁石を埋め込んだ対象物の角度とか移動量、回転量を非接触で測定できるのがポイントであり(Photo29)、これにより高耐久性や低消費電力、小型化が実現できるとしている(Photo30)。
実際評価キット(Photo31,32)を使ってみると、ほぼディレイなく結果が反映されている(Photo33)。
複数の動き(上下左右以外に捻りとかスティックの押し込みとか)を認識する事も可能ということで、従来の機械式の操作部の置き換え向けに提案を行っているという話であった。