独Infineon Technologiesの日本法人であるインフィニオンテクノロジーズジャパンは11月30日、報道陣に向けたセンサーワークショップを開催し、同社のXENSIVセンサー製品群の最新の取り組みなどの紹介を行った(Photo01)。

  • 浦川辰也氏

    Photo01:説明を行った浦川辰也氏(PSS事業本部 センサーシステムズ&IoT 部長)

まずは今回の開催背景。Infineonといえば特にパワー半導体が強いイメージがあるし、実際売り上げの半分強はパワー半導体である。ただ逆に言えば半分弱はそれ以外であり、センサー製品はEmbedded Control/Connectivityに次ぐポジションを獲得している。このセンサー製品の売り上げをもう少し高めたく、まずはXENSIVという同社のセンサーブランドの知名度をもっと引き上げたいというのが今回のワークショップの目的である。

  • 社内における売上比率を向上させたいという目的もある

    Photo02:もちろん対外的に売り上げを伸ばしたいという事もあるが、社内における売上比率を向上させたいという目的もあるとか。ただ左下のグラフ(黄緑がセンサー部門)で判るように、センサー以外の部門も売り上げが伸びているため、なかなか社内での比率を上げるのも難しいのだとか

ちなみにこの「RF&Sensor」については、車載向けの「ATV」と民生向けの「PSS」という2つの部門で扱っている。

その車載向けセンサーに関しては、同社はすでにトップクラスのポジションに居る(Photo03)。

  • センサーではBoschとほぼ同等の2位のポジションにつけている

    Photo03:センサーではBoschとほぼ同等の2位のポジションにつけている

問題は民生向けの方で、例えばMEMSマイクロフォンでは市場トップでありつつ、その名前がほとんど売れていない(Photo04)。

  • モジュールではなくMEMSチップ単体でも出荷している

    Photo04:理由の1つは、モジュールではなくMEMSチップ単体を出荷し、これを顧客が独自ブランドで出荷している方が圧倒的に多い(Infineonブランドのモジュールだけで言えば、市場シェアは10%程度だろうとのこと)あたりである

センサーマーケットという意味ではMEMSマイクロフォン以外に他にも民生用レーダーとかToFイメージセンサー、環境センサーなどが、いずれも高い成長率を実現すると見込まれており、こうしたマーケットに特化することで今後の規模拡大につなげたいとしており、逆にこれ以外のマーケットに関しては今のところ様子見となる。

  • MEMSで言えば加速度センサーが非常にポピュラー

    Photo05:MEMSで言えば加速度センサーが非常にポピュラーだが、ここはすでにシェアの大きな競合が多く存在するので、今から参入しても売上・成長率ともにそれほど期待できないということで、今のところ参入の予定はないとのこと

具体的にPSS事業部における主な製品がこちら(Photo06)。

  • 昔はCAPSENSE単体のセンサーというかコントローラも存在した

    Photo06:大昔にはCAPSENSE単体のセンサーというかコントローラも存在したが、現在はすべてMCU統合になっている模様。ちなみに一番下のUltrasonicに関してはまだ開発中ということで、今回は紹介は無かった

これに加えて、XENSIVブランドではなく、Cypress由来のタッチセンサーソリューションであるCAPSENSEがある。ただし、こちらはセンサー単体というよりはMCUに統合されてしまっている格好だ。一方ATV事業部におけるセンサーがこちら(Photo07)。

  • 応用例

    Photo07:こちらの応用例は、必ずしも自動車だけでなく、それを他の分野で利用した例が含まれている

モータの位置測定などに向けたセンサーと電流センサー、空気圧、レーダーなど、EVとADAS時代を見据えたセンサー類が多くラインナップされている。

次のページから、センサー別に詳細を説明したい。