Windowsパソコンの操作効率を極めたい
Windowsの操作効率を高める最も効果的な方法は、ショートカットキーやクイックランチャー(コマンドパレット)の活用であり、これらをどれだけ身につけているかが大きく効いてくる。補助的にマウスやタッチパッド、さらに利用するアプリケーションに特化した入力デバイスなども効果を持つ。十分な性能を持つようになった現在のパソコンの操作性能を引き上げる上で大切なことは、プロセッサの速さやメモリの量ではなく、「入力デバイス」だ。
そんな中でも特にこだわりたいのが「キーボード」である。パソコンは数年おきに買い替えるかもしれないが、キーボードはパソコンを超えてずっと使うことができる。手になじんだキーボードは何よりも作業効率に効いてくる。一生付き合っていけるキーボードに出会うことができたなら、それはとても幸せなことだ。使い続けるごとに体はそのキーボードを身体の一部のように扱うようになる。
キーボードはツールであり嗜好品でもある
キーボードはパソコンを使うためのツールであると同時に「嗜好品」でもある。すべてにおいて最強のキーボードというのは存在しない。用途に応じて適切なキーボードは異なるし、そしてユーザーの「好み」は画一的ではないのだ。
ノートパソコンのキーボードのようにストロークが小さくて押す長さが可能な限り短いキーボードを好む方、ガチャガチャと大きな音を出しストロークが長く力強く押す必要があるキーボードを好む方、扱いやすいテンキーがあるかどうかを重視する方、扱いやすいファンクションキーがあるかどうかを重視する方、可能な限りコンパクトであることを重要視する方、キーボードが左右に分割されていることを好む方など、挙げていくとキリがない。キーボードはツールであると同時に嗜好品でもあり、ユーザーのアイデンティティに関わる道具でもあるのだ。
キーボードにはいわゆる「高級キーボード」と呼ばれる高価なキーボードのジャンルがある。しかし、価格が高いこととその人にとって「よい」キーボードであることは必ずしも両立しない。嗜好品の側面を持つ道具であり、その人が扱いやすく気に入っているキーボード、それが最良のキーボードなのだ。
パワーユーザを魅了する「Happy Hacking Keyboard」
さまざまなキーボードが存在するのだが、中でも長年にわたって多くのアドバンスドユーザーを魅了し続けているキーボードに「Happy Hacking Keyboard」がある。Happy Hacking Keyboard (HHKB)はコンパクトだ。キーの数は必要最小限。フラッグシップモデルは無刻印でありキートップに印字すらない。加えてキーボードとしては驚くほど値段が高い。それでも、多くのパワーユーザーがこのキーボードを愛用している。
現在展開されているモデルは次の3つだ。
- Happy Hacking Keyboard Professional HYBRID Type-S
- Happy Hacking Keyboard Professional HYBRID
- Happy Hacking Keyboard Professional Classic
HYBRIDはBluetooth接続とUSB接続に対応、ClassicはUSB接続に対応している。Type-Sは高速性と静音性を意味している。その双方を備えた「HYBRID Type-S」がフラッグシップモデルだ。
英語配列無刻印、英語配列、日本語配列という配列/キートップに、さらに「墨」と「白」というカラーがある。
製品のメトリックスは次のとおり。
無刻印/墨 | 無刻印/白 | EN/墨 | EN/白 | JP/墨 | JP/白 | |
---|---|---|---|---|---|---|
HYBRID Type-S | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
HYBRID | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
Classic | ○ | ○ | ○ | ○ | ☓ | ☓ |
どのモデルも無刻印が用意されている。これもHHKBの特徴の一つだ。アドバンスドユーザはキーボードを見ながら入力を行わない。ブラインドタッチは当然ながら、記号の入力や「Fn」キーの利用においてもキーボードを見ない。視線をディスプレイからキーボードに移すとそれだけ効率が下がるからだ。不要なものはつけない、それがHHKB無刻印モデルであり、この高潔さがアドバンスドユーザーを魅了するポイントだ。
繰り返すが、キーボードは嗜好品の側面も持っている。必ずしも特定のキーボードが万人に合うわけではないことをもう一度前置きした上で、今回、Windowsパソコンで「Happy Hacking Keyboard Professional HYBRID Type-S」(以降、HHKB)を活用する方法を紹介しよう。